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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「小話」に端午の節句ネタ掲載しました。
現在一般的な吹流し型のこいのぼりは江戸時代に入ってから関東中心に広まったもので、武家が端午の節句に幟旗や馬印を飾っていたのがその前身なんだそうです。と人形屋さんのサイトで読んだ。

落ち延びてきた将門の居場所がこいのぼりを掲げたためにバレたので、埼玉のどこかの町では将門の呪いを避けるためにこいのぼりを飾らない という逸話も一緒に紹介されていましたが将門って平安時代の人じゃないっけ。「江戸時代に広まった」筈のこいのぼりが平安時代に出て来るのはどういうわけだろう。

あちこちに首落下地点が偏在してる将門はむしろ「妖怪(俺の)体置いてけ」か。


忍者が匂いを持っているのは拙いよなあとぼやきながらひょいと左足を持ち上げ、絡まっている鎖をぐるぐると解く。
「あれ。これ、俺の微塵だ」
慌てて懐に手を突っ込んでその中を探った八左ヱ門が苦い顔をする。
「……掏られていたのか」
「地上で何があったんです?」
「それが、よく分からん。とにかく外へ出ようぜ。ここは暗いし埃っぽい」
地下道の先を指した八左ヱ門が先に立って歩き出し、三木ヱ門は慌てて後を追う。
小さい火を頼りに起伏だらけの足元に注意しながら歩く三木ヱ門の、やや遅れ気味の歩調に合わせてか、八左ヱ門はゆったりと歩を進めている。その背中に向かって三木ヱ門は尋ねた。
「どこに通じているんでしょう、この道は」
「水練池の近くの草ぼうぼうの所。そうそう、さっきは逃がしてくれてありがとな。流れ弾、って言うか流れ石礫は当たらなかったよな?」
「私と左門は何とも」
喋りながら歩く八左ヱ門の足取りには迷いがない。この悪路の様相を既に把握していて、更に道の出口を知っているなら、屋根から落ちて来た八左ヱ門と確かに同一人物だ。
「屋根の上では追われ、地下では絡まれとは……先輩、今日はモテますね」
「うわー、嬉しくねえ」
からっと言い放って笑う。口調は陽気なものの、声だけ聞けば息も絶え絶えの病人だ。……鼻薬を勧めてみようかな。
意地の悪いことを企んでいる三木ヱ門の腹の中などつゆ知らず、八左ヱ門が顔をこすりつつ言う。
「立花先輩に呼び止められて顔を貸せと言われたんだが、それが簡単にはいと言えない話だったんで、ちょっと……口論みたいになって」
互いに仁王立ちで睨み合い、険を含んだ声は次第に大きくなっていく。
その時、仙蔵の後ろから応援が現れた。我らが委員長が誰かと喧嘩をしている、と見て取った兵太夫が一緒にいた藤内を巻き込み、助太刀しますと叫んで突進して来たのだ。
「そのまま立花先輩の背中にタックルして、勢い余って向かい合っていた俺ごとぶっ飛んで、落ちた所が穴の上」
「……喜八郎に掘りっ放しはやめろと注意しておきます」


予想外の速さに、八左ヱ門は気を呑まれたように寸時ぽかんとした。
「……え、即答?」
「絶対に確信があるわけではないのですけど」
正直に言って、三木ヱ門は眉を下げてみせる。
「立花先輩に、委員会で担っている責任を放り出すことはできない、と反論なさったでしょう」
あの作法委員長を前に、一歩も引かぬ体で敢然と。
八左ヱ門がふと手を上げて手のひらで頬をこすった。その手も泥が付いていたのか、汚れが引き伸ばされただけで、きれいにはならない。そのまま頬を押さえて嗄れ声で言う。
「こんな目に遭っていれば、"鉢屋"なら投げる?」
「とは思いませんが、もう少し違った態度や言い様をされるかと」
六年生がいない委員会の中の最上級生という立場は三郎も八左ヱ門も同じだが、委員会活動の内容は大きく異る。主に学園行事に関わる諸事一切を取り仕切る学級委員長委員会と、小さな虫から大きな馬まで数々の生き物を一手に面倒見ている生物委員会と。
委員長代理の八左ヱ門が作法委員会へ引っ立てられてしまうと下級生たちが困る。ひいては虫も馬も困る。飼育されている生き物にとって、困ることは即、命に関わる。
「”いったん生き物を飼ったら最後まで面倒を見るのが人として当然”」
三木ヱ門が諳んじると、八左ヱ門はぱちぱちと素早い瞬きをした。
「――を金科玉条に掲げ、生き物の命を双肩に負うていらっしゃる竹谷先輩ならば、あのような"体当たり"をなさるのも納得がいきます」
「くすぐったい」
ぼそっと八左ヱ門が言う。突っ込まれたくない独り言だろうから聞かぬふりをして三木ヱ門は続ける。
「それに、さっき抱え上げられた時の匂いが」
「ええ? 俺、におう?」
食草を刈ったり飼育小屋を建てたり、脱走した生き物を捜索したり、生物委員会は大抵屋外で活動しているから、毎日たっぷり陽差しを浴びている。それならその匂いがすっかり身体にしみついているのは、
「竹谷先輩のはず、です」
さあ、当たりですか外れですか。
「うー……。参った。当たり」
そう言って八左ヱ門は小さく両手を上げた。


詰め寄られたぶん八左ヱ門が軽くのけぞる。
開いた距離をまた三木ヱ門が詰める。
袖を取られている八左ヱ門は大きく下がれず、困ったようにまた少し足を引く。汚れた顔の中で紙縒りの火に映える目が妙にきれいだ。
「うぉーい。睫毛が焦げるよー」
そんなことをもそもそ言い、紙縒りをかざしてまじまじと観察する三木ヱ門から首をねじって顔をそらす。自分の肩の後ろを見るような無理な姿勢になった八左ヱ門に向かって、三木ヱ門はもう一度同じ質問をした。
「どちらです?」
手首をくるっと回して掴んだ袖を手に巻き付け、ますますしっかりと確保する。
「さっき答えた」
「でも、念押しには答えてくださいませんでしたね」
「……鉢屋か、竹谷か、それ以外かって?」
「三番目の可能性はないものとします」
同じ顔が三人以上もいたらややこしくて仕方ないからと三木ヱ門が断言すると、八左ヱ門は俯いたまま少しだけ目を上げて、失笑のような苦笑をした。
「田村の都合じゃないか、それ」
「変装をしてうろつく必然性のある人物が鉢屋先輩以外にはいないとか、こう申し上げる理由はあります。でもそれはいま重要じゃない。五年生のうちのお一方を抑えたことと、出来得れば先輩は竹谷先輩ご本人で」
「べっくし」
八左ヱ門が思い切り話の腰を折る力強いくしゃみを放った。それで言葉の続きを見失った三木ヱ門が瞬間、絶句する。
「えーと……なんだ、"竹谷"を探してるんだったっけ。でも、"鉢屋"は用無しというわけでもないと」
今のくしゃみで余計に喉の調子をひどくした八左ヱ門が三木ヱ門に代わって言う。
「大体、そんなところです」
「でも俺は逃げたい――けど、逃がしてくれないんだろ」
足に絡まった鎖が暗がりの中でがちゃがちゃ鳴る。
はあっと溜息を吐いた八左ヱ門は仕方なさそうに三木ヱ門に向き直り、自分の顔を指さした。
「田村は、これが、どちらだと思う」
火は近付けてくれるなよと釘を刺す。
「言ってみなよ。その答えが合っていたら、確かに本人だと正直に認める。間違っていたらこの場は解放しろ」
「えー……と」
顎に手をかけて眉を寄せた三木ヱ門はわずかの間考えこむ素振りをしたが、大して迷わず答えを口にした。
「ここにいらっしゃるのは、竹谷先輩だと思います」


雷鬼の火縄銃はどう見てもロングバレルだから寧ろガンナーと呼びたい。
「手遊び」を更新しました。掲載した後にあちこち手直ししたため一日遅れでお知らせ。

この他にも、既掲載分を見直した際、気付いた誤字脱字や読みづらいと思った文章にはちょこちょこ修正を入れる作業をしています。その数が多いこと多いこと。
アップした時点で完成品ではなく人目を忍んでじわじわ変化し続けるってそれなんてサグラダファミリア。


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