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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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少しの間ブログ連載を休みます。最長でも1週間程度の予定です。
収集つけるために広げまくった風呂敷を一旦整理したいのと 腰がね PCの前に 座ってられなくてね…オオオオオ
ブログ連載の#171-180、#181-190をサイトに掲載しました。

喜三太が言った「つんむぐる」は茨城(の一部?)弁です。秩父や相馬、二本松でも言うらしいので広く北関東~南東北方言? 風魔忍者は平安時代に筑波山から足柄山へ拠点を移した説があるので、相模にいながら常陸の言葉も残ってるかなーというお遊び。
三木ヱ門が小平太を評して言った「シールドマシン」はこんなんです。


中学以来の持病の腰痛を原因不明でこじらせて寝ても立っても歩いても座っても何しても動きがロボ化する昨日今日です。静止した状態から歩き出すのがこれまた痛くて初動負荷理論を体感しちゃったりなんだり。
五分以上座っていると しぬ ので 当面空気椅子です。デスクワークなのにー。

むかし接骨院の先生に
「顎が外れるのとぎっくり腰は、本人は必死でも見た目が面白いから周りは笑うばっかりで助けてくれない(から予兆があったらちゃんと治療しろ)」
と言われたのを思い出した。


「あのひそひそ喋りも引っ掛かるんだが……気になるなら気にしていろ、って言い方もな」
「気になることなら山とあるんですけどね」
さり気なく三木ヱ門が言うと、八左ヱ門は屈託なく「田村も大変だなー」と笑ってぽんと三木ヱ門の背中を叩いた。
予算絡みの隠し事があるはずなのに、会計委員を前にしてこの悪びれなさといったら。
水べりでちゅんちゅんと飛び回るすずめの一群を見遣りつつ、三木ヱ門は心の中で呟く。生物委員会の保護下にある生き物に対する責任は、他の何をも凌駕するというのか。
それとも単に、委員長以外の会計委員なら与し易しと思っていらっしゃるんだろうか。
「そう言えば、田村は俺に用があるんだっけ? ……なんで膨れてんだ?」
「顔の体操です」
ぷしゅうと頬の空気を抜いて素っ気なく言う。なんだそりゃ、と言って八左ヱ門はわしわしと頭を掻いた。荒縄を束ねたような長い髪がそれにつれて揺れる。
「医務室で孫兵に会いました」
唐突に三木ヱ門が言うと、八左ヱ門は瞬間、動きを止めた。
白目がちかちかと瞬く。軽く上げた眉がすぐに下がった。頭にやっていた手を頬に当て、嘆息する。
「そうか」
「はい」
双方ともそれ以上は語らない。
きみこの手当に駆け込んできた孫兵は三木ヱ門に問い詰められて渋々、内緒の小猿にまつわる秘密を喋った。保健委員と留三郎のどたばたを後に厳しい表情で医務室から出て行った後、裏山から帰って来た八左ヱ門に会っていれば、三木ヱ門にあれこれ教えてしまったことを伝えて謝っているはずだ。
逆に言えば、学園に戻ったあとの八左ヱ門が孫兵に会っているなら、三木ヱ門が仔細を承知していることを知っているはず。
……この反応なら、当たりだ。
向い合って無言で佇むふたりを、首をかくかくと傾けながら眺めていたすずめが、ぱっと飛び立っていった。


暗さに慣れた目には痛いほど、その明るさが眩しい。三木ヱ門は片手庇をして目を細め、紙縒りの火を壁で押し消した。
「ああ、空気がおいしい」
抜け出した穴の外は八左ヱ門が言った通り、水練池のほとりだった。地下道の圧迫感から解放された快さに三木ヱ門が思わず伸びをしている間、池に近付き水面に顔を映した八左ヱ門は「こりゃひどい」と独りごちた。
よく見えなくてさえぎょっとした汚れ顔は、陽の光のもとで見るとより一層凄い。
改めてそれに気づき目を丸くする三木ヱ門に、八左ヱ門は少しきまり悪そうに笑った。
「男振りが下がっちゃうよな」
「いや、そうでも……いえ、あの、えーと」
「池の水で顔を洗う訳にはいかないしなー」
失礼な発言をさらっと聞き流して、八左ヱ門は手のひらでぐりぐりと頬をこする。文次郎もしきりに同じ仕草をしていたのを、三木ヱ門はふと思い出した。
「そのお顔は一体、どういうわけで」
「床下に潜ったり天井裏を這ったり、灰捨場を引っ繰り返したりしてたもんでね。どうして、なんて聞くなよ。いつものアレだ」
それに加えて屋根を走ったり地下道を通ったり、か。
「わざと汚していたんじゃないんですね」
「そのおかげで助かったみたいだけどな。立花先輩に"そのご面相では困る"ってのっけから言われたから、汚れていなかったら問答無用で拉致されたかも」
「竹谷先輩の顔形がいる、と仰っていましたが……」
「あー、それが分からないんだよなぁ。俺の顔をモデルにして生首フィギュアを作る、なんて悪趣味なことはいくらなんでもしないだろうし」
そう言って八左ヱ門が首をひねる。


「ぶつかった時に微塵を抜かれたのかなー」
八左ヱ門は回収した私物を丁寧に懐に収め、あの暗い中で正確な投擲をするとはと唸った。
「園田村で、初めて撃つ砲弾を試射もなしに目標に当てたもんな。そういう勘はさすがだよなぁ」
「ああ、ユリコを持って行かれた時……」
大事な小型カノン砲を拉致された上に「使えなかった」とそのまま返された一件だ。あの時は他にも諸々あってプライドがぺっしゃんこになった三木ヱ門はしばらく放心から立ち直れなかった。思い出すと今も若干、魂が抜け出ていきそうな感覚に陥る。
「……おーい。帰ってこーい」
「……はい。臼砲で震天雷を撃つのに、実際に発射したのは虎若だそうですが」
同じ火器の括りとはいえ虎若が得意なのは火縄銃だ。砲の仰角や方向はおそらく火器のスペシャリストである仙蔵が助言したに違いない。
そう言えば、三治郎と孫次郎と一緒に小猿を探していた虎若はどうしているだろう。
……いや、待てよ。木下先生が左門から回収した小猿が忍術学園に帰って来ているのは確かな筈だが、不破先輩(暫定)が持っていた穴の開いたつづらが再度の脱走の痕跡だとしたら、それは直ちに竹谷先輩に伝えるべきだろうか。
しかしそうすると、内緒の猿やその他のあれこれについて三木ヱ門が知っていると手の内を晒すことになってしまう。
迷いながら歩いているうちに、行く手に光が差してきた。



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