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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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この籠を図書室に置いてくるから少し待ってほしいと悄然とする雷蔵と、頭を重石で押さえられてまごまごする団蔵を、長次は黙って見比べている。
変だと思っている……よな、これは。けど、会計委員会は図書委員会に不審を持っているのではないと、わざと空けた間で汲んでくださったはず。
高いところにある横顔をこっそり伺い、三木ヱ門は緊張しきって逆に鼓動が間遠になりそうな胸をそっと撫でる。お願いだからもう少し表情筋を使ってほしい。
「申し訳ありません。抜けます」
長次に顔を向けた雷蔵が軽く頭を下げ、ついでに眉も下げた。長次がつと顎を引く。
「構わない。当番ではないのに手伝わせた。しかし、良いのか」
意に反して連れて行かれるようだが――と言いたげな視線が、じろりと三木ヱ門を見る。
ぴょんと三木ヱ門の背中が伸びた。雷蔵がゆっくりした口調で言う。
「五年の学級費のことならば、学級委員長には尋ねにくいでしょうから」
「そうか。なら、良い」
頷いた長次は肩先を軽くぶつけて器用に引き戸を開けると、そのまま図書室の中へ入って行った。
……他人のしていることに興味が無い、というのは本当らしい。
「これを中に置いてくればいいんですよね」
「え、ああ」
腕を伸ばした団蔵が頭の上の重そうな籠をひょいと取り上げ、空になった雷蔵の手が一瞬泳ぐ。雷蔵が何を言う暇もなく団蔵はその籠を持って長次の後に続き、すぐに廊下へ戻って来た。
「掴んでいなくても、逃げないよ」
また飛びつこうとして身構える団蔵を片手を上げて制し、雷蔵は三木ヱ門に困り笑いのような苦笑を向けた。
「……さて、何を話そうか?」

書きっぱなしになっていたブログ連載をサイトにまとめてアップしました。
過去データを見直しつつ編集作業をしていると、#221で自分が書いた

左吉「残念なのはお前の国語力だよ」

がブーメランです。

ついでにこの台詞は「進撃の巨人」でジャンがミカサを指して言った台詞のパロです。
久しくアニメは見てなかったのですがネット配信て便利ね。どうしよう原作買っちゃおうか完結まで待とうか。
アニメ絵のベルトルトは頭身高めの二次絵になった時の雷蔵に似てる気がするんですがどうでしょう。同意見の方にお目にかかったことがないのは視聴(読者)層がかぶってないからか、単に「似てねぇよ」なのか。

続きから返信です―。
籠で両手が塞がっている雷蔵は対応できない。団蔵の突進をまともに受け止めて足元をよろめかせる。
「わ、わ、よせっ。危ないっ」
「捕まえました!」
崩れかかる巻物としがみつく一年生にあたふたする雷蔵をよそに、団蔵が高らかに勝ちどきを上げる。揉み合う二人と、「よしっ」と拳を握る三木ヱ門を交互に見て、長次が目を瞬いた。
「会計委員。これは、何だ?」
表情がほとんど変わらないので分かりづらいが、突然のことに驚いてはいるらしい。それでも三木ヱ門と団蔵が揃っているのを見て委員会絡みの行動だと察している。警戒を抱かれる前にと、三木ヱ門は雷蔵を手で示し早口に言った。
「騒がしくて申し訳ありません。五年生に用があります」
「五年生に」
しかしあれは不破だ、と、離れようとしない団蔵を蹴るわけにもいかず難渋している雷蔵を見遣り長次がぼそぼそと言う。
第五学年のことなら学級委員長の三郎や勘右衛門に聞くべきではないのか。なぜ、こんな荒っぽいやり方をもってしてまで雷蔵を捕まえるのだ。
そんな言外の詰問を感じ取った三木ヱ門はさっと顔を上げると、敢えて長次から視線を外し、声を張って「不破先輩」と呼びかけた。
「私たちと話をしてくださいますか。それともここで私が話してよろしいですか」
「……う」
思わずのように短く呻いた雷蔵が、長次が訝しげに眉をひそめたのに気付いて小さく身震いする。
それを見届け、三木ヱ門はくるりと長次に向き直った。
「予算に関して確認しなければならないことが出来しまして――図書委員会の活動とは、関わりないのですが、」
息継ぎをするふりをして、一拍、間を置く。
「不破先輩にご助力を頂きたいのです。ただ、お忙しい最中かと思いますので、――ここで立ち話で済ませても」
「それは駄目!」
声をぶつけるように雷蔵が三木ヱ門を遮った。
雷蔵らしくない強い口調に、長次が片方の眉をわずかに上げる。
「……廊下で立ち話をしたら通る人の邪魔になるから」
話なら、どこかその辺の空き教室でしよう。
諦めたようにそう提案した雷蔵は、ささやかな仕返しなのか、抱えた籠の底を団蔵の頭にすとんと乗せた。


こいつはちょろいと見くびられるよりはマシな扱いかもしれないが、褒めたら怯えられ小突いたら安心されるというのも複雑だ。
そう考えつつ少しだけ開けていた戸を閉じると、団蔵がきょとんとした。
「入らないんですか?」
「中在家先輩も不破先輩もご不在のようだ。困ったな」
「……中に入って探さないんですね。あんまり困ってなさそう」
「いや、大いに困っているぞ」
中在家先輩に不破先輩の居所を尋ねられないとなると、事務室か焔硝蔵を見て回らなければなあ。当てもない手がかりを頼りにあちこち無為に歩き回ってばかりで、ああ疲れる。
そう嘆いてみせる三木ヱ門を疑わしげな目で眺めていた団蔵が、さっき閉じたばかりの戸に手を掛けた。
「おい、何を」
「ついでだから"枕"を借りようかなって思って」
僕は本を読みますと、慌てる三木ヱ門に向かって堂々と宣言する。
「でも、枕なら備品倉庫なのかな」
「その"枕"じゃない」
「枕草子なら書庫に分冊版がある。拾い読みに、良い」
突然背後から聞こえた一本調子なぼそぼそ声に、三木ヱ門はヒュッと息を呑んだ。向かい合う三木ヱ門の肩越しに後ろを見た団蔵が「あ」と口を開ける。
「五十段前後に馬の話があるよ。好きな題材なら、読みやすいんじゃないか?」
穏やかに補足する声が聞こえた瞬間、固まっていた三木ヱ門は矢のように鋭く振り返った。
腕いっぱいに本を抱えた長次が真後ろに立っている。振り向いた三木ヱ門の勢いにいささか面食らった様子だ。その更に後ろから巻物を盛り上げた籠を抱えた雷蔵がひょいと顔を出し――そして固まった。
「……確保っ」
三木ヱ門が言うのと同時に、ダッシュで駆け寄った団蔵が雷蔵の無防備な腰に飛びついた。

バッターアウト。
……アップロードした瞬間はまだ7月7日だったんです(現在7/8 0:02)。

手遊びに七夕ネタ小話掲載しました。女子力(物理的)。
今日はこれで力尽きたので申し訳ありませんが連載はスキップします…

この一ヶ月リアルの方で仕事が忙しくてワタワタしておりました。それはもうゴルゴに依頼したいほどに。チーフがスケジュール管理をきちんとしていれば避けられた不要な忙しさだったんだこんちくしょう…
今月は少し楽になる はず なので、去年の「怪し」みたいな企画をやろうかなと考えています。
というか今年中に完結させると目標にした連載が今年も半分終わった時点で続いてないのはどういうこ と 。
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