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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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夏企画のネタ探しに伝奇譚の本やらを読んでいる最中です。
昨年の「夏の怪し」は「怪談ではなく奇談」をコンセプトにしていましたが、今年はそれよりもやや怪談寄りになる予定です。サイコ? スリラー? サスペンス?
ただ自分自身がビビリなのでガチなホラーはたぶん できない。
怪語れば怪来たるとも言いますし。お構いなしに来るんですよ。霊感レスのところにも。


……それは昨年の企画中のことでした。


これは内容の関係もあって8月15日にアップしたのですが、その晩の就寝中、ふと「ゼロ距離で眉間の辺りをじいいいいいっと見詰められている圧迫感」を覚えて居心地の悪い思いをした、という夢なんだか現実だったんだか今ひとつ分からない出来事がありました。
寝ぼけてた可能性99%ですが、怖くないお化けは身内か先祖だというなら、大戦中に陸軍の飛行機整備兵だった私の大伯父に当たる人がフィリピンで戦死しているらしいので、その人だったのかもしれない。


続きからメルフォのお返事ですー。




「痛っ――くないけど、変な略語を作るな」
「"さぶろうるさい"から十段階変化する、協会からの警告だ」
「いつ決めたそんなの。と言うか協会って、何のだよ」
「お前が警告を受けても自制しないで最上級の"さぶろうとましい"まで到達したら、十日間どんな変装をしてもスルーの刑だからな」
「雷蔵、兵助が意地悪だ。お母さんはあなたをそんな子に育てた覚えはありませんよ」
「俺もこんな母に育てられた覚えがなくて幸いだよ」
「それに私も協会員だよ、三郎」
「だからそれって何の協会なの」
「第二段階、さぶろうっとい。えい」
「蹴るなっての! いじめかっこ悪いぞ」
……なんなんだこの会話。
頭の上で丁々発止と飛び交う、しかし緊張感のない会話を神妙な態度で拝聴しつつ、三木ヱ門は内心で頭を抱えた。
ただの五年生同士の馬鹿話にしか聞こえない。だがこの状況で呑気な雑談をする理由がない。
このやり取りの陰に情報を含ませていると思わせて撹乱しているのか、裏予算案を追及しようとする三木ヱ門の気概をからかいのめして挫こうとしているのか、――あるいはこれも、隠し事を抱えているがゆえの緊張の裏返しなのか?
「潮江先輩が焔硝蔵に立ち寄ったと仰っていました」
小さい声で三木ヱ門が呟くと、騒々しく喋り続けていた3人の五年生は一斉に口を閉じた。集中砲火のような視線を感じながら、机の上に目を落として三木ヱ門は続ける。
「そこで何かがあったとは聞いていませんけれど。――そう言えば久々知先輩、伊助は一緒ではないのですね」
「ボクイスケデス」
三木ヱ門の左側で子供っぽい高い声がぼそっと言った。

「だから団蔵が出て行った少し後に俺たちも図書室を出て、ちょうど廊下の角を曲がって行った雷蔵のあとをつけた」
作戦行動訓練中の状況報告のように明瞭な口調で兵助が言う。
書庫へ蔵書を取りに行っているという雷蔵を待って図書室にいたのだから、その場で声を掛けて呼び止めても良かった。しかし、ちらっと見えた雷蔵の表情はひどく緊張していて、雷蔵にとって好ましからざる事態に陥っていることを示していた。
そして雷蔵の代わりに団蔵が巻物を持って来たことが、どうしても引っ掛かった。
「通りがかりの下級生に用事を頼むなんてことは珍しくないのに、――会計委員だから?」
この一帯だけ重力が増したような圧迫感のさなかでうつらうつらしている団蔵を睨みつつ、三木ヱ門が低い声を出すと、三郎が「ふーん」と気の抜けた声を漏らした。
「なるほど。鎌をかけて来たね」
「私が何を知っているとお考えです?」
「さてね。君の顔を真似ることはできても、頭の中までは写し取れないからな。私には分からないよ」
そう言って、三郎はわざとらしいほどに芝居がかった含み笑いをした。両手を腰に当てた雷蔵が呆れ顔で眉を寄せたのが見えたのか、その一本調子な笑い声はすぐに止まる。
三木ヱ門は首を回し、正面に立っている雷蔵へ顔を向けた。
「不破先輩はお二人がつけて来ていたことに気付いておられたんですか」
いくらか気後れしたふうに三木ヱ門を見下ろして、雷蔵が横に首を振る。
「いや、全く。さっき廊下から聞こえた足音で初めて気が付いた」
「えっ、そうだったのか? つれないなぁ。気配くらい感じ取ってくれたっていいじゃないか」
「さぶろうるさい」
三木ヱ門の背後で、兵助が足を伸ばして三郎を蹴った気配がした。

七夕ネタを下げて、ブログ連載の#231-240と#241-250をサイトにアップしました。

今更ですが七夕話の中に出てきた鋒鍼(ほうしん)と員利鍼(えん/いんりしん)は本当はただの鍼治療に使う鍼です。でも見た目がこんなん
鍼灸医さんのブログで「忍者の道具みたい」と紹介していたので、武器として持たせてしまいました。「針」が名前に付く武器って意外と少ない。


ブログ連載の#231のわかりづらいボケ「東北・上越新幹線」は、「新幹線こだま号は青のカラーリングが基本なものの、昔は東北・上越新幹線だけ緑の車両が走っていた」を踏まえています。アバウト30~40年前の話なのでさすがにリアルタイムでは知りませんが。


#236の「下級生から見た上級生は、上級生の自覚の如何を問わず"大人っぽく"見える」話は、書き出したら個人的な思い出が絡まって、ちょっと本筋から脱線しました。

ここからは自分語りが混ざるので続きへ。
その音に張り飛ばされたように咄嗟に振り返る。
教室の出入口は――開いていない。
が、黒板がまるごと半間(約0.9m)ほど横へ滑っている。
どうしてろ組とは組の黒板はあんなおかしな構造に作ったんでしょうねえ、と言った斜堂の言葉が耳に蘇った瞬間、壁と黒板の間にできた暗がりから2つの人影が飛び出して来た。
「!」
三木ヱ門の腰が浮いたのと同時に雷蔵が素早くその場に立ち上がる。視界の端で動いた影に引き寄せられて三木ヱ門が反射的に向き直ると、今度は背後にぞくっとするような気配が立ちはだかった。
首の付根にふわりと手が乗せられる感触がした。
「田村は立たなくていいよ」
「……久々知先輩」
頭の上から降って来た泰然とした声に三木ヱ門は歯噛みした。背中の上部に軽く力を加えられただけなのに、そこが力の通り道なのか、立ち上がる動作に移れない。
――さっきの廊下の足音はこの二人だったのか。隣の教室と黒板の裏表を共有していると聞いたのを失念していたのは不覚だった。
「面白いことをするなら私たちも誘ってくれなくちゃ、なぁ」
「ふざけている場合じゃないよ、三郎。かなり知られているぞ」
三木ヱ門の背後に目を向けた雷蔵がため息混じりにたしなめる。別に刃物を突きつけられているわけではないとやや落ち着きを取り戻した三木ヱ門は、首をねじって左手を見上げ、尋ねた。
「どうしてここが」
「はは、陰謀の現場に踏み込まれた者の定句だな。どうしてと聞くのか? ならば答えよう。それは勿論、不破雷蔵あるところに鉢屋三郎ありだから」
「俺たちは図書室にいた」
三郎の口上をすぱっと遮って兵助が答える。
「中在家先輩を手伝っていると聞いた雷蔵が戻るのを、奥の棚の陰で待っていたんだ。しばらくして中在家先輩が書物を抱えて入って来られた。が、一緒にいるはずの雷蔵は図書室に現れず、代わりに団蔵が――って寝てるのか、この子――会計の一年が巻物の籠を持って来た」
巻物を積み上げた籠は重い。それを一年生が疲れた様子もなく運び入れた、と言うことは、すぐそこで雷蔵から受け取ったに違いない。なぜ雷蔵は無関係な一年生に荷を預けた?
何かが起きて図書室に戻れなくなったからだ、と推測するにはそれで十分だ。


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