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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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失言を非難するようなことを言いながら、笑えばいいいのか同意すればいいのか迷っているような、どっち付かずの表情で団蔵が明後日の方を向く。
「笑ってるだろ」
「笑ってません」
「笑っちゃえよ」
「やめてくださいよー」
三木ヱ門が軽く脇腹を小突くと、団蔵は大げさに身をよじってそれをかわした。その声を聞きつけたのか、じゃれる2人の傍らを澄まして歩く異界妖号の向こう側から、小鳥がぱっと飛び立つ。
途端に三木ヱ門と団蔵はその場で動きを止めた。
「……あれも忍雀なんですかね」
「さあなぁ。……見張られている"かもしれない"って感覚は、思った以上に気に障るものだな」
木の下の作兵衛と鹿子を目撃してから今の今まであちこちですずめを見かけたが、何しろすずめなのだから、特段意識することもなかった。しかし、もしもあれらの中に忍雀が混ざっていたのなら、仙蔵が居ながらにして三木ヱ門の動向を掴んでいた可能性もある。
なぜあいつはあんなに右往左往しているのかなと好奇心を持たれてしまっていたら――途轍もなく厄介だ。三木ヱ門に目もくれずに八左ヱ門の顔の三郎を引きずっていったのだから、今のところ仙蔵の興味の対象の優先順位は生物委員会が第一位のようではあるが。
それとも、忍雀の見張りをつけつつ泳がされているのか。
「……あー。ちょっと、すずめを駆逐したくなった」
「それは聞き捨てならないな」

上級生はみんな大人びて見えると団蔵がぶつぶつ言っていたのを思い出す。それにひきかえ自分たち一年生はあちらへウロウロこちらへウロウロ、なんて落ち着きが無いことか。
しかし三木ヱ門からすれば、自分が一年生の時に憧憬と共に見上げた四年生とは、学年は同じになっても未だ及ばないことばかりだという自覚がある。
が、四年生の今は下級生がいる。あの頃の自分と同じ眼差しを持った後輩の前で、失望させるような真似はできない――
と言うよりカッコつけたい。みっともない姿はできるだけ見せたくない。地面につまずいて派手に転んだり、怪談話を聞いて怯えた顔をしたり、自棄を起こしてむちゃくちゃな行動をしたり、辺り構わず怒鳴り散らしたり、頭を抱えて泣き叫んだり、いろいろと。
どんな衝動に襲われても(あるいは思いがけない草の罠に引っ掛かっても)、隣に下級生がいるだけでそれらの言動をぐっと我慢することができる。
左右にそれぞれ一年生が控えていたら、何かの拍子にタガが外れそうになっても強力なストッパーになりそうだ。
「……潮江先輩のタガが外れるようなことって、なんだ?」
団蔵と左吉を敢えて連れ歩いていたのは、下級生の視線という抑止力を期待してのものだったというなら、文次郎は自分が激情に駆られるような事態が起きることを想定していたのだろうか。
「潮江先輩は元からタガが吹っ飛んでる気がします」
「失礼なやつだな。あれでもだいぶ理性的なほうだぞ、うちの生徒の中では」
「その物言いも失礼ですよ……」

このまま無作為に歩き回るよりはやはり医務室へ向かったほうがいいのか。しかし先回りして待ち構えている所へ首尾良く文次郎が戻って来ても、さっきの池の端のような態度を取られては、身の置き所がない。
歩きつつ悩みながら何気なく下ろした足が、突然地面に縫い止められた。
「えっ」
次の一歩が空を踏み、一瞬、身体が浮き上がる。
転ぶ、と覚悟したその時、慌てて手を伸ばそうとする団蔵が視界の端に見えた。
「……ふん!」
浮いた足を無理やり軌道修正して予定着地点より大幅に前へ踏み出す。体勢は崩れたものの、手も膝も地面に着けずに、なんとか堪えた。
アキレス腱を伸ばす柔軟運動のような姿勢で後ろ足の方をよく見ると、爪先が草同士を結んだ弧の中にすっぽりと入っている。
「危ないなぁ、何だこれ? 先輩、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。驚いたけど」
爪先で草を引っこ抜いて足を解放する。周辺を警戒せよというサインかただのいたずらか知らないが、一年生の前でコケるなんて格好悪いことできるか。
……一人歩きしていたら、驚いているうちに呆気無くコケていたかもしれない。
「抑止力、か」

「さっき背中に乗せてたの、誰?」
団蔵に尋ねられた異界妖号の耳がへなっと垂れた。
「一応聞いてみるんだな」
何となく、「えー、そんなこと言われてもー」と困り笑いをしているような雰囲気を感じる。
声を出した三木ヱ門の方に顔を向けた異界妖号が、今度はピンと耳を立てる。
「万が一という場合もありますし」
「馬が喋るってエドか」
「穢土転生ですか」
「もう色々と違う」
「先輩、誤魔化そうとしていらっしゃいますよね」
「それが分かっているなら意図を汲め。――ほら見ろ、怒ってる」
放ったらかしにされた異界妖号が耳をぴったり後ろに倒し、目を尖らせているのを見て、三木ヱ門は異界妖号から少し離れた。馬がこういう顔をした時、うっかり後ろに回ってしまうと強烈な後ろ蹴りが飛んでくる危険がある。
団蔵はさすがに恐れ気もなく手綱を引き、馬の額をぽんぽんと軽く撫でた。
「築山の所で仰っていた、"四年生の一存で話せることじゃない"話に関係あるんですね」
「そう理解してもらえるとありがたい」
ついでにどこかで潮江先輩を見かけていないか異界妖号に尋ねてみてくれと言うと、団蔵は言下に「無理です」と断った。
「なら左吉だ」
「無理ですってば。一年は組なら、出席を取る! って言えば集まってくるけど」


「食満留三郎です。メンチ切り合ってた文次郎が背後から突然仙蔵にひん剥かれて乙女のような悲鳴を上げました。何を言ってるのか分からねーと思うが(以下略 」


「夢十夜」第四話更新しました。エイリアンシリーズで言うところのチェストバスターです。ビショップ真っ二つシーンが怖い人は多いはずだ。

クラゲとか毛虫に刺されてべべべべべーと線状に腫れた痕ってファスナーの開閉部に似てませんか似てませんね。
蚊に好かれやすいのはO型でお酒好きな人だそうですが、A型で酒が飲めない私が刺されまくるのが非常に理不尽です。平熱が高いのがいかんのかと思ったら犬(平熱38℃くらい)と並んでいても刺されるのでやっぱり理不尽。

会社に行く時に通勤バッグに携帯サイズの制汗スプレーを放り込んだつもりが液体ムヒだったのでわたしはもうだめだと思いました。



似て非なるもの。
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