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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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この記事の続きメモ。

というか、上の記事を書いた一ヶ月後に北広島町が花田植の紹介サイトを作っておられました。
花田植の詳細→田植歌→田植歌の例 で「よばひどの」が確認できます。
日本古典文学全集「田植草紙」(江戸時代初期頃にまとめられた中国地方の田植え囃子集)の巻には載っていなかったのですが、下の方にある「田植歌草紙」なる本を見てみたい。

文字で確認できる出典はかなり限られている感じなので、一体どうしてこれが落乱の中で歌われることになったのか不思議です。尼子先生はどこでこの歌を知ったんだろう。

「進路妨害だぞ」
「馬じゃありません。喋ってないでしょうね」
できるものなら視線でその首を締め上げたい、と言わんばかりの目で睨んでくる。三、四年生に遅れまいと懸命について来る井桁模様を肩越しに見遣り、三木ヱ門は小声で答えた。
「信用ないな。喋っていないから安心しろ。それどころか、今となっては僕まで首が危険だ」
「ご愁傷さまです」
全くそうとは思っていない口調でおざなりに言われる。
お前のところの委員長代理に酷い演技で恫喝されたぞと言いたくなるのを我慢して、話を変えた。
「えーと、――きみこだっけ、蛇はどうした?」
「働いてますよ」
木の上か草の中か、人間とは別の方角から猿を追っていると、屋根を走る八左ヱ門を横目に見ながら孫兵が早口に言う。
「怪我をしたから休ませたかったけど、やるって言うから」
「……言うんだ」
「目で」
「孫兵、一平、右へ寄れ!」
頭の上から八左ヱ門の指示が飛んだ。
挨拶もなく三木ヱ門から離れた孫兵が倉庫に添って逸れる。驚いて振り返った三木ヱ門の目の前を走り抜けて、投網のようなものを背負った一平もその後を追って行く。
一平は伊作と一緒に虫除けの草を置いて回っていたんじゃなかったのか、と一瞬考えたが、そう言えば屋根から落ちた伊作は文次郎に捕まっている。
だから行く当てに困って、改めて生物委員会に合流したのか。
……なんとなく腑に落ちない。

やがて前方に木立の切れ目が見えて来る。
怯む前に一気に駆け抜けた。同時に、右手の方から生物委員会がわっと現れる。
「あれっ、田村先輩?」
ちらりと横を見た孫兵が驚いたような声を上げる。それに釣られて振り返った八左ヱ門は、三木ヱ門と目が合うと、呆れたように苦笑いをした。
「縁があるな」
「嬉しくないです」
「だろうね」
「猿ですか?」
「猿だよ」
肩に担いだ虫捕り網をひょいと持ち上げ、八左ヱ門は倉庫の屋根を指して、朗々とした声を張り上げる。
「目標、屋根の上!」
「はーいっ」
声を揃えて返事をした下級生の一団が2つに分かれ、倉庫の左右から回り込んで行く。三木ヱ門が顔を上げると、それほど高くない屋根の天辺を飛ぶように跳ねて移動する小さいものが見えた。
見えたと思った途端、影も残さず消えている。
「速い!」
「だから厄介なんだよなぁ」
呟いた八左ヱ門が走る勢いのまま跳躍した。壁を蹴って倉庫の屋根へ乗り、助走をつけて別の一棟へ飛び移る。
「……猿だ」
三木ヱ門が思わず口走ると、並走していた孫兵が急に斜行してドンと肩をぶつけた。

とっさにあたりを見回すが、すばしっこい小さな影は見当たらない。
あっちだ! の声と共に林の向こう側で集団で駆け出す足音がして、木々の間に青や緑や井桁模様がちらちらしたかと思うと、あっという間に遠ざかり見えなくなった。
「あっちって……倉庫のある方だ」
そしてそこでは文次郎が苛々している。そんな所に八左ヱ門が駆け込んで来たら、文次郎が水練池から立ち去った時の態度からして、またひと揉めする恐れがある。しかし、小猿の捕獲に必死になっている八左ヱ門はおそらく、取り合わず受け流すか強行突破するだろう。
苛立ちを加速させた文次郎の前にのこのこと顔を出す勇気はない。
「ないから逃げる、って理屈にはならないんだよなあ、田村三木ヱ門としては!」
自棄気味に叫んで頬を両手でパンと叩き、走り出した。
その拍子に手甲の隙間から滑り落ちそうになった金の金具をすくい上げ、手の中へ握り込んで、これの持ち主も見つけないとと頭の隅で考える。
玉の飾りと一緒に事務室へ持って行って、吉野先生に――くれぐれも「吉野先生に」――保管をお願いして、掲示板に張り紙でもしておくのがいいだろう。いいものらしいからネコババしてやろうなんて不心得者はこの学園にはいない。
そんな奴がいたら、うちの委員長に地の果てまで追いかけられたうえ丸一日は正座で説教だ。
文次郎を怒らせるとそれくらい怖い。
そして、その文次郎のもとへこれから行くのだ。
「……左吉、お前の役目は重いぞ」
駆け足が少し鈍ったのを思わず声に出た呟きのせいにして、気を取り直し再び前を向く。

※設定ミスで非公開になっていました。ご迷惑おかけして申し訳ありません。(9/15)

「ええと……」
ひとりで何度も首をひねりながら、ばらばらに散らばっている言葉を拾い集めて組みたててみる。
そうして頭の中で出来上がったのは、さっきのきり丸の話のせいではないだろうが、丸く巻いた落とし紙の形だった。
「つまり……屋根の上で竹谷先輩を追いかけていたのは善法寺先輩だと、僕は思っている……ってこと?」
落とし紙と伊作を直結して認識している無礼には気付かない振りをして、呟いてみる。
不運を呼び寄せることに関しては疫病神にご利益を請われ拝まれてもいいくらいだが、それでも伊作は忍術学園の六年生なのだから、実技はからっきしダメということは無いだろう。成績のほどは知らないけれど、少なくとも四年生や五年生に遅れを取ることはないはずだ。
八左ヱ門を防戦一方で逃げの一手に追い込むくらいはできる――のかもしれない。ピンポイントで石つぶてを速射する姿は想像はしづらいが。
屋根の上から八左ヱ門に向かって怒鳴った声は裏返って割れて、何を言っているのか分からないくらいだった。
八左ヱ門が伊作をそこまで怒らせるようなことをした、というのも想像に難い。
それも忍術です、の「それ」って何なんだろう。
一年生たちの高い声が「そっち、逃げた逃げたっ」とキンキン響いてきて、三木ヱ門は我に返った。

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