忍者ブログ
. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
文責
written by 大鷲ケイタ
バーコード
忍者アナライズ
27
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

その代わりに仙蔵が好奇心いっぱいで身を乗り出した。
「不破の主観では、気がついたら医務室にいて周りを囲まれていたというわけだ。ここへ運ばれる前に何があったかは覚えているのか?」
てんでに明後日の方を向いた三木ヱ門たちを不安気にきょろきょろ見回していた雷蔵は、仙蔵の食い付きにやや身体を引きながら、気後れした様子で「途中までは」と頷いた。
「校舎の外を三郎と兵助と三人でうろついていました。確か馬がいて、田村と団蔵がその近くに……そう言えば立花先輩、三郎が部屋で寝ていると仰るのは?」
「作法委員会の活動に協力を頼んで、少々強引に顔を借りた」
「顔、ですか」
「そう。文字通りに"顔"が必要だったのでね。今日に限って鉢屋がお前の顔をしていなかったのは、運が悪かったな」
医務室から鉢屋の所へ疫病神が出張に行ったのではないかと言って、仙蔵は伊作を見てにっと笑う。
伊作は眉を下げて首を振った。
「疫病神は今日も元気に営業中だよ。数馬は水汲みに行ったまま長いこと帰れなかったし、僕は屋根から落ちるし……」
「不運と不注意は違うぞ。それで? 校舎の外へ出る前のことは?」
「えぇ……っと」
思い出すふりをして口ごもった雷蔵がちらっと三木ヱ門を見る。一年は組の教室で問い詰めたり問い詰められたりしたのは覚えているらしい。
しかし、仙蔵も意味ありげな目を三木ヱ門に向けると、小さく笑いかけた。
……教室の中になぜかすずめがいたんだっけ。そして、表へ逃げ出したら「指令が飛んできた」と言って喜八郎が助けてくれたんだっけ。
は組での押し問答の内容まで、まさか立花先輩は忍雀から聞いて把握しているんだろうか。
「記憶があやふやな時は、どの辺りまで覚えているか確認しておくのは重要だぞ。そうだろう、伊作」
「善法寺先輩、不破先輩はもう部屋に帰っていいですよね」
喜八郎がばっきりと話の腰を折った。

それは落とし穴に落とされたうえ正体不明のぬるぬるまみれにされて理性をぶっ飛ばされたからですよ――と教えてはいけない気がして、三木ヱ門が伊作を見ると、伊作も目配せを返して首を小さく左右に振った。
抑圧された記憶が出来上がる瞬間を見てしまったらしい。……この先、不破先輩が寒天やくず湯恐怖症にならないといいんだけど。
「良いことしたみたいに言って。元凶はお前じゃないか」
悪びれるふうもない喜八郎の背中をつついてこそっと言う。
喜八郎は涼しい顔で、首をひねっている雷蔵とまだ俯いている兵助を目で指した。
「ちゃんとアフターケアしてるもん」
「もん、じゃないだろ……」
「それにあの仕掛けを使ったのは三木ヱ門と団蔵を助けるためだしー」
「それは……まあ、感謝してるけどさ、まさかこうなるとは」
声をひそめてやりあう四年生たちに気付いた雷蔵が、急に寒気に襲われたように、両手で自分の腕をこすった。
「私が医務室にいるのは綾部が運んで来てくれたからで……でも、寝かされていないということは、普通に自分で動いていたということ?」
「そうですよ。普通ではなかったけど」
不安を煽ることを言って喜八郎が頷いたので、雷蔵は腕を交差して両肘を掴んだまま「わあ」と小さな悲鳴を漏らした。
「もしかして自分で覚えてないだけで、私は何か変なことを言ったりやったりしたの」
「あー……」
戸惑いに満ちた視線を向けられて、三木ヱ門は思わず目を逸らした。
雷蔵が首を巡らせても、伊作も文次郎も、左吉も目を合わせようとしない。
怖い光景を想像して三木ヱ門がぞおっとするのと、雷蔵を観察して喜八郎が眉を逆立てたのは同時だった。
「不破先輩、狸寝入りはよしてください」
膝に額をくっつけて静かにしていた雷蔵の肩がぴくりと動く。
そして、豪雨がやんだ後に巣穴から外へ出ようとしている慎重な生き物のように、そろりそろりと顔を上げた。三人の六年生と二人の四年生、ひとりの一年生にじっと注目されているのを目に留めてやや怯んだものの、「見抜かれた」と困り顔で愛想笑いを浮かべる。
「いつから起きてたんだ」
寝ていろと命令した文次郎が尋ねると、雷蔵はごしごしと目をこすりながら首を傾げて考えた。
「目が覚めたのは、出たぁ、の辺りです。うつらうつらしていて……でも、その前のことがなんだか曖昧で」
「頭は大丈夫?」
「へっ?」
這い寄ってきた伊作に唐突に尋ねられて、雷蔵は声を裏返した。
「え、と……それは私がアホってことですか」
「ああ、違う違う。どこまで記憶が残ってるのかな。目はちゃんと見えている? 周りに誰がいるか言ってみて」
「……潮江先輩、立花先輩、田村、綾部、左吉、それに善法寺先輩――と兵助です。あの、記憶って」
「目はもう平気だな。頭が重いとか痛いとか、どこか調子が悪いと感じる場所はあるかい」
「特には何も――でも、どうしてだろう、ちょっと綾部が怖い……です」
早く帰ろうと言って雷蔵の袖をつまんでいる喜八郎からやや身を引くようにして、雷蔵が答える。
「私は不破先輩と久々知先輩を落とし穴から引き上げて、ここに運んだんですよ」
「え、そうなんだっけ? ごめん、ありがとう……なんで怖いなんて思うんだろ」
口をとがらせる喜八郎に謝りつつ雷蔵が不思議がる。

読んでも為にならない思い付きと覚え書きです。

袴について。

忍装束の構造が未だによく分からないので描写が必要な際は毎回迷うところですが、他サイト様で拝見する二次絵だとサイドの股立ががっつり空いてて上衣を着ないと非常にせくしーなことになってるケースが多いのはどこかに元ネタがあるのかしら。
と常々思っていたのですが、
大相撲九州場所の中継をぼけーと見ていたら、ちょこちょこ映る呼び出しさんの穿いている裁付/裁着袴(たっつけばかま)も、横から見ると膝のあたりまで中の着物が見えていて股立がかなり深い。
ちょっと調べてみたところ、この裁付袴は別名「野袴」「山袴」「伊賀袴」とも言い元は作業着なのだそうで、忍装束も動きやすい野良着がベースになっている てことは裁付袴=伊賀袴=伊賀忍者も穿いていた袴=忍び袴の一種と考えていいのかな。


ふんどしについて。
こっちは以前読んだ資料の殴り書きメモの清書です。なんちゅうタイトルだ。
そして私は何故これをメモろうと思ったのか。

忍者ふんどしの着け方。
*両端に二本ずつ紐がついた幅30~40cm、長さ150~160cmの布を用意します。
1)一方の端の紐を首の後ろで結んで布を前に垂らす
2)もう片方の端を股下にくぐらせて後ろ腰まで覆う
3)残りの紐を腰から前へ回して結び止める
4)できあがり。

ビジュアル的には長ーーーい腹掛けみたいなもんでしょうか。
人目を忍ぶ任務中に役立つ(屈むと緩むので外さなくても用が足せる…とか)ように特化したあからさまな忍者グッズで、身体検査をされたら一発で素性がバレるので、忍者も普段は一般的なふんどしを着けてたらしい。
重ねて尋ねる声は穏やかだし、仙蔵の表情はにこにこと機嫌が良さそうでどこにも険がない。
しかしその場には戦慄が走った。喜八郎だけは強張った空気に頓着せず、かーえりーましょ、と詠うように節をつけながら雷蔵をちまちま小突いている。
緊張感に圧倒されて首をすくめたまま、伊作が言った。
「何も見てない……よ」
「人が入れる大きさの檻と、図会が何冊かあっただろう」
「自分で言っちゃうの!?」
「そんなもんを天井に上げてんのか!?」
文次郎と伊作が同時に突っ込み、左吉が思わずのようにひしと三木ヱ門の肘にしがみついた。檻、という言葉の衝撃にぽかんとした三木ヱ門は無意識に口走る。
「……え、誰を拉致監禁?」
さっき八左ヱ門の顔をした三郎が「その顔が必要」と言われて引きずられていったが、ひょっとしてもしかして。
「大きい檻だと言うだけだ。別に人間用じゃない」
落ち着き払って仙蔵が剣呑な想像を否定する。そして、お前は先にも私を見て「出た」と騒いだなと、ちょっと三木ヱ門を睨む振りをした。
「それに鉢屋は用が済んだので自室に帰した。かなり疲れていたから、たぶん今頃は寝ているだろう」
「何をなさったんですか……」
「多少、精神の緊張を強いられること」
「ちゅんちゅん。朝ですよ。起きましょうよ」
雷蔵を揺すっている喜八郎が似せる気のないすずめの鳴き真似をした。
八左ヱ門の動向が面白いから、作法委員長が鍛えた忍雀に八左ヱ門の顔を覚えさせて追跡と情報収集の訓練をするのだと、そう言えば喜八郎が言っていた。
すると三郎は二、三十羽の忍者のすずめと至近距離でお見合いでもしたのだろうか。おそらく逃げ出せない状況に放り込まれた上で、鋭い爪とくちばしを持った多勢のすずめに目と鼻の先でパタパタされながら。
「うわあー……」
「たぬきがいる」

Copyright c 高札場 All Rights Reserved
PR
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ / [PR]