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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「その、逃げた"生き物"は"危ない"から、もしもの場合はなるべく穏便に捕獲できるようにって、協力を頼まれていた」
単語の端々に微妙な抑揚をつけつつ、目の焦点を迷子にした伊作は渋々説明する。
他の生物委員たちが捜索に駆けまわっている間、一平を伝令に非常事態通報を受けた伊作は薬草園で虫除けの草を摘み集め、小さな生き物が隠れやすい場所へ重点的に配置して回った。
「図書室の書庫へ行かれた時はお一人だったようですね」
伊作は今どこにいるのかという勘右衛門と伏木蔵の会話の最中、怪士丸が「書庫にはもう来ていた」と言った。
保健委員ではない一平が伊作に同行しているのを目にしていたら、おや、と思っただろう。
一平も一緒だったよ、なんでだろうね――と怪士丸が言わなかったことから三木ヱ門が鎌をかけると、伊作は急に歯が痛み出したような顔で頬に手を当てた。
「そこはほら。一年生だけど生物委員だから、一平はちゃんとそういう場所を心得ているから、二手に分かれて効率良く――」
「って建前で、お前は何が目的だったんだ」
当たり障りなく切り抜けようとする伊作に文次郎が斬り込む。ぐらぐらと揺れた伊作の目が傍らの仙蔵を見るが、仙蔵は特に動こうとはしない。
「そいつは俺らの味方じゃねえが、だからってお前の味方もしねえぞ」
ただ成り行きを面白がっているだけだ、とにべもなく文次郎が言う。
「その通り。私は中立の立会人だからな」
「どっちにも等分に面倒くせえ野次馬、の間違いだろう」
「立場が変われば見方も変わるということだ」
「善法寺先輩。どうぞ、話をお続けください」
放っておけばいつまでも続きそうな六年い組のやり取りに割って入り、三木ヱ門が促すと、伊作はちょっと恨めしそうな顔をした。
「……薬は一回勝負で作るものじゃないんだ。試薬を作って、実験して、その結果を見て改良して、それを何度か繰り返して完成させるんだ、けど、この"実験"が実は厄介でさ。人間用の薬を作る場合、まだ不安定な薬を人で試さなくちゃならないから、勿論安全には配慮しているけど思い掛けない効果が出る場合もあって」
一号は熟成中に爆発して、二号は留三郎を悶絶死寸前に追い込んだという鎮痛膏・改もそのクチだ。


サンフレッチェ広島優勝おめでとうございます。

そして只今の心象風景
なんで最後の最後で2連敗するのさ…



そうです私はマリノスファンです。
9年振り優勝の瞬間を見ようと先週は久し振りでスタジアムに行ってしおしお帰宅して今日は今日でパブリックビューイング(観戦チケットは完売してたので)に行こうか行くまいかぎりぎりまで迷ったせいで行き損ねたら 逆転二位転落キタコレ。別名罰ゲームなACL出場権は獲っちゃったけど、国内リーグ戦カップ戦に加えてアジア行脚でおっさん軍団な選手の体力は保つのかなあ…。

スポーツニュースサイト巡ってリアル orz 状態の中村選手の写真を見たらいかん泣けてきた。
ひゅっと背中を伸ばした伊作がお盆を抱え直す。
乾いた唇を舐めて湿し、三木ヱ門は文次郎に目顔で了解をとってから、三たび口を開いた。
「三重策から話を続けます。……と言うよりそこから少し戻りますが、竹谷先輩を屋根の上で追い回すのに前後して、生物委員の一平と一緒に行動しておられましたね」
「ひぇ」
素っ頓狂な声が伊作の口から漏れた。吸い込んだ空気が変な所へ入ったらしく、平手で胸を叩いて目を白黒させる。
「それより更に前に戻ると、私と潮江先輩が捕獲道具を持った生物委員の一年生たちと最初に会った時に――」
一平はどうしたんだろうという質問に、保健のところでしょと誰かが答えた。
何の為に保健のところに行ったのか、という話にはならなかった。つまり、「何か」があった時は生物委員が伊作のもとへ行って共に行動するという約束ができていた、と三木ヱ門は考えた。
その「何か」とは、ある生き物――小猿と明言するのは仙蔵がいるので一応避けた――の身に変事が起きた時だ。
と、思っていた。
「話を聞き込んでみると、善法寺先輩と一平が薬草園で草を摘んで、屋根裏や床下や人があまり出入りしない場所にそれを置いて回っている――ということは分かりました」
「……防虫効果がある草だよ。怪しいものじゃない」
長次のようにもそもそと伊作が主張する。
三木ヱ門は軽くうなずき、「それは本当だと思います」とあっさり言った。
「変事が出来した時に何故虫除けなのかと、妙に思ってはいましたが、――赤ん坊に大人と同じ量の薬は投与できないのと逆に、虫ではなくても身の丈があまりに小さい生き物には、虫除け草の効果が及んでしまう。だからその生き物は、その草が置いてある、隠れるにはちょうどいい場所には近付きたがらない――という、煙を使わない"燻り出し"をしたのではありませんか?」
だから小猿は人目につく屋外ばかりを移動していた。
潜伏できる場所を潰してそうするように仕向け、発見しやすくした。迂遠な方法だが、実際、小猿は二度の脱走とも建物の外を主に走り回っている。
「えぇと……ねえ……半分、合ってる」
不味いものを口いっぱいに頬張っているような口調で伊作が認めた。

居ながらにして「手のもの」のすずめで情報を収集していたらしい仙蔵は、確かに、当事者が語るより前からあれこれの事柄を承知しているのだろう。医務室へ入ってくる前に喜八郎と話をしたのなら、その中で「三木ヱ門が忍雀の存在を知っている」と聞かされていて不思議はない。
だからって、鷹狩りの鷹の代わりに鍛えたすずめが困ったことに優秀な諜報員になりました――、なんて、伊作も左吉も(ついでに兵助も)いる場で簡単に言えるものか。知らないうちに見られているなんて良い気のするものじゃないからあまり吹聴しないほうがいい、と言ったのは三木ヱ門自身なのだ。
首をカタカタと傾け心底困った顔でしきりに瞬きする三木ヱ門の姿に、文次郎は一瞬険しく眉を寄せたものの、すぐにふっと肩の力を抜いた。
「言えねえ話か」
お前が飲み込んだ話のひとつかと、言外に問いかけてくる。
「では、ない、のですけど……ひと口に話し難くはあります」
「なら今はいい。それより――」
「へぇ~え?」
伊作に向き直る文次郎の機先を制し、さっきの二倍語尾を伸ばして今度は伊作と仙蔵が声を揃えた。伊作がお盆を立てたままずるずると仙蔵に這い寄り、二人で目引き袖引きしながら、隠す気のない声量でひそひそ話を始める。
「聞いた? 見た?」
「聞いた。見た。曖昧な物言いを容赦したな」
「あの文次郎が」
「あの裏表なしの直情径行が」
「あの自他に厳しい地獄の会計委員長が」
「あの骨を割ると髄に正心が詰まっている男が」
言いたい放題に言いながら、ちらりちらりと文次郎の方を窺う。
が、口元を曲げてこれ以上ないくらいのしかめっ面をしながらも、文次郎はじっと黙っている。その反応の無さに仙蔵が飽きて「あの――」の応酬が止まると、「話を続ける」と低い声で一言告げた。

「か、か、か、か、」
「カラスウリじゃなくて烏かな?」
「か、からかわないでください」
やっとのことで抗議したものの、全力で走った後のように頬が熱いので鏡を見るまでもなく自分が赤くなっていることは分かり、それがまた恥ずかしくて、三木ヱ門は両手で顔を抑えて俯いた。
左吉はといえば、興味深そうな顔で、しかし口は閉じて、てんでに赤くなってあたふたする先輩たちを冷静に見比べている。
「……あー、もう! なんで俺が責められてんだよ」
耳が赤いと言われて反射的にそれを隠した両手を下ろし、ひとつ空咳をして、文次郎がじろりと伊作を見る。飛び退った時に放り出されたお盆を拾い上げた伊作はそれを盾のように体の前に立てて、その陰で肩をすぼませた。
どんなに頑張ってもお盆の裏に隠れるのは無理だ。承知の上での無駄な抵抗をしつつ伊作がこぼす。
「仙蔵、あんまり文次郎を煽らないでくれよ」
八つ当たりの剣突を食らうのは僕なんだよと嘆き、誰が八つ当りなんぞするかと文次郎が口調を荒げる。
「訊問が厳しいのは当たり前だろうが」
「ならば私は行き過ぎが無いよう監察をしよう」
「どうあっても居座る気かよ?」
三白眼を向けられても仙蔵はひるまない。少しだけ端に寄ってひらひらと片手を振る。
「私のことは空気とでも思って気にするな」
「近場に居られちゃ不快指数が高すぎんだよ!」
「それに、お前が思っているよりも私は事情に通じているんだ。そのことについては田村が知っているだろう」
「えっ!?」
爆弾を投げ渡された三木ヱ門は、振り向いた文次郎とばちっと目が合って硬直した。

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