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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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希少な薬草を使って調合した貴重な薬は、イカサマレースで生物委員会のねずみを勝たせるという目的を達した後とはいえ、その大部分を無駄にしてしまったことになる。
もったいないな。
いや待てよ。自分で立てた仮説を自分で疑うのもなんだけど、本物入りの瓶がひとつだけとは限らないか。不可抗力でこぼれたり瓶が割れてしまった場合のリスクに備えて、ふたつ以上は用意していたかもしれない。もしかすると全ての瓶が本物だったのかも?
いずれにしても、善法寺先輩に下級生の私室の家探しはできないのだから。
……蜜漬け薬の薬効が薄れる前に人が口に入れないように、長過ぎる持続期間のことは後でこっそり竹谷先輩に伝えておこう。何だかんだと面倒を被ったお返しに、思いっきり恩着せがましく言ってやろうかな。
三木ヱ門が不埒なことを考えている間に、伊作にお盆を持って行かれて手持ち無沙汰にしていた腕を胸の前で組んだ文次郎は、「ふうん」と小さく唸るような声を出した。
「不運?」
「ただの間投詞だ」
眉を下げた伊作へすげなく言って、文次郎はすっと目元を険しくした。
「お前がなんのかんの動き回っていたのは要するに、薬を作るのを失敗したり実験をしくじったりしたのをごまかそうと工作していたってことだな?」
「ご、ごまかすって言うと言葉がきついよ。大事になる前に対策を講じた、とも言える、だろ?」
「大事になりかねない原因を作ったのがそもそもお前なんだろう」
「……あー。うー。……はい、そうです」

バカタレィ、の大喝が医務室の壁や床をびりびりと震わせた。

図書館で借りた「(財)馬事文化財団 馬の博物館 特別展『戦国の城と馬』」リーフレットから抜き書き。

【在来種の毛色の種類】

鹿毛:在来種に最も多い。赤褐色系で、赤に近い色から黒褐色まで。黒みが増すにつれて黒鹿毛・青鹿毛になる。たてがみ・尾・肢の下部が黒い。

栗毛:全体的に黄褐色系。たてがみ・尾は濃い黄褐色~白。色調により栃栗毛・黒栗毛・白栗毛などに分かれる。

青毛:体毛すべてがつやのある黒色。日葡辞書では「両耳の内側に白毛があるものが青毛、ないものが黒毛」とされている。

芦毛:原毛色は鹿毛・栗毛・青毛などで白色毛が混ざっており、年齢が進むにつれて白色の度合いが強くなる。原毛色とあまり変わらないものから純白まで個体差がある。交雑の多少や斑形部分により白芦毛・黒芦毛・連銭芦毛などと呼ばれる。

河原毛:川原毛・瓦毛とも。全体的に赤みを帯びた黄色に近い白色(朽葉色)で、たてがみと尾だけ黒に近い。背中の黒い筋(鰻線)が目立つ。

鴇毛:つきげ。月毛とも。トキの羽色を連想させる多少赤みを帯びた芦毛。交雑により鴾毛粕毛・鴾毛雲雀・鴾毛駮などがある。

糟毛:かすげ。粕毛とも。原毛色が鹿毛・栗毛・青毛などで、首・胴体や四肢の上部に白色の毛が混ざる。芦毛と異なり白色の度合いが増すことはない。原毛色により、鹿糟毛・栗糟毛・青糟毛などがある。

雲雀毛:原毛色は鹿毛・栗毛・青毛などで、たてがみ・鰻線・尾の黒色が強く現れている。交雑により栗毛雲雀・青雲雀・鹿毛雲雀などがある。

駮毛:ぶちげ。白色毛が鹿毛・栗毛・青毛などと全面的に混ざるのではなく、斑状になるもの。交雑により栗毛駮・芦毛駮・河原駮などがいるとされるものの、現存の在来馬に駮毛はいない。

※日本軽種馬登録協会で決められているサラブレッドの毛色は、欧州馬の分類を参考にした鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・栗毛・栃栗毛・芦毛・白毛の8種。

※能一傑号と異界妖号は駮毛で、斑点が小さい能高速号は微妙な駮毛?
虎若父の砲右鯔号は青毛っぽい。ぽううぼら→ぽーぼら→pólvora=火薬(ポルトガル語)説はほんとかな。
伊作が転んで地面に飲ませた薬は、薬ではあるが、甘い蜜でもある。
そして大抵の生き物は甘いものが好きだ。そんなごちそうが目の前にこぼれていたら、大喜びで舐めるに決まっている。
「……という理由で、生き物たちの大運動会が、参加者多数で長屋と校舎を中心にじょろじょろ絶賛開催中……な訳です」
一平と分かれて作業をしたのは、薬の影響で虫や小動物が大暴れしている状況に焦りに焦って大急ぎで作り上げた解毒剤を、虫除けの配布に紛らせつつこっそりばら撒くためだった。
「体力増強剤は本来は毒じゃないから、解毒剤って言うか、代謝を上げてできるだけ速やかに薬の成分を体外へ排出する薬で……、効果の程は正直分からない」
「逆の目が出る可能性もあるのか、ひょっとして」
「いや、もともとある代謝促進の薬を応用しただけだから、危ないことにはならない」
仙蔵に問われた伊作はしっかりと言い切り、そのすぐ後に「……筈です」と小首をかしげて付け加えた。
「その、不特定多数の生き物に試薬を与えていた、というのはいつ頃ですか」
三木ヱ門が尋ねると、伊作は反対側に首を傾け、少し考えてから答えた。
「ひと月半前、くらいかな」
「その時から今までに、異様に元気な生き物の数は増えたり減ったりしていませんか?」
「うーんと……ひと月前に、下級生長屋で爆発的に増えた、な。試薬の中に、遅効性のものがあったんだと思う」
左吉の鼻が「ぷく」と変な音を立てた。
文次郎が片方の眉を吊り上げて左吉を見る。が、左吉は「僕は何もしていません」とばかりに澄ました顔で、三木ヱ門も「私は何も聞いていません」という顔をしているので、文次郎もすぐに訝しそうな表情を消した。
虎若と団蔵の足の踏み場もない部屋の中で吹っ飛んだ瓶は、大当たりだったようだ。

だいぶ前にJFLの試合で阿波踊りに使う鉦をチャカポコチャカポコ鳴らしながら徳島ヴォルティス(前身は大塚製薬サッカー部の大塚FC)のサポーターが踊っているのを見た記憶がある。J1昇格おめでとうございます。
高校サッカーで徳島商業が躍進していたイメージがあるので、四国勢初のJ1入りが今ごろになったのが何となく意外。

で、「雁の翼に」18話更新しました。
アニメ何期の話だったか、学園長と八方斎が大人げない悪口合戦をしている時に「人の悪口を聞くのってイヤな気分」とふぶ鬼が耳を塞いでいたので、風鬼はたぶん子供を真っ当に育ててるんだと思います。
未登場の奥さんがしっかり躾けてるのかもしれませんけども、それを嫌だと思える感性って大事よ。
「――でも、今回は人間用じゃないから……。学園に飛んで来る鳥や野生の生き物に試薬を与えて、様子を見ていたんだ。あの、勿論、健康を損ねないように十分気を付けたよ! むしろ人間で実験する時よりも注意したよ」
そこだけは強く主張したいと、伊作が声を大きくする。
その声が耳に入ったのか兵助がわずかに身動きし、左吉が素早く肘を掴んだが、目を覚まして顔を上げる気配はない。さっと兵助の方を見た文次郎はそれ以上の動きがないのを確認すると、同じく兵助に目を向け口を開けて止まっている伊作に「続けろ」と言った。
「それ、で……えっと、慎重に作らないといけない薬だったから、実験も回数を多めにして丁寧にやりまして、ですね」
急に敬語になった。
それでも配合を間違えたんですかと突っ込みたいのをこらえて、三木ヱ門は別のことを質問した。
「それは、同じ鳥や生き物に繰り返し投薬したのですか」
「……いや、その都度違うのを捕まえて来た。体にかかる負担が結構大きいからね」
「すると――実験の回数だけ、体力増強剤を与えられた生き物がいると?」
「うん」
こっくりと伊作が頷く。
その頭が、ずん、ともう一段階下がった。
「つまり、ね、めちゃくちゃ元気な生き物があれこれ、学園の敷地内を跋扈しているわけでして。しかも、その効果の持続期間が予想外に長くって――って言うのは、さっき話した通りで」
ザリガニをKOしたメダカも被験者というわけか。
ぐるりと頬をひと撫でして文次郎が顔をしかめ、さっきの話とは何だと仙蔵が目を光らせる。
「あとでね、仙蔵。……で、今さら言うまでもないんだけど、僕はよくコケる」
そして抱えているものを景気良くぶちまける。それが補充用の落とし紙であろうと洗濯したばかりの敷布であろうと、腕から離れたそれらは容赦なく空を舞う。
舞ったが最後、いずれは地面に落ちる。
「道理だな」
「そのー、試薬が入った壷を持っている時も、何回か……転び……ました」
「……道理だな」
しみじみ呟いた仙蔵が、ぽん、と口を鳴らした。

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