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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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分かりやすく例えようとしたら要点がずれてただの散漫な話になった。
説明が下手な人にはよくあることだが、発言はいつも単純明快を旨とする文次郎にしては珍しい。どさくさに紛れてちょっと良いお菓子をせしめることに成功してしまったようだし。
懐に突っ込んである破れた手拭いに上衣の上から触れながら、三木ヱ門は首を傾げた。
「ええと、つまり、私がすずめの形に作ったものを、すずめでなくしてしまうのが忍びなかった……と?」
「概ねそんなところだ」
ぽんと音を立てずに手を打ち合わせて、文次郎が頷く。
「……これも今更ですけど、お嫌ではなかったですか、ふくら雀」
さっきの唐輪髷ではないが、さして深い意味もなく「出来そうだからやってみた」しろもので、学園一忍者している男の文次郎の風体に可愛らしい飾り結びが似合うかどうかなどよく考えなくても明白だ。こわごわ尋ねてみた三木ヱ門に、文次郎は「嫌なら外した」と、こっちは簡単に答えた。
「あれを結んでいたおかげで猿に噛まれなくて済んだしな。まともに噛み付かれたらどうなってたか、分かったもんじゃねえ」
もともとは固いものを主に食べるのか、あくびをした時に見えた小猿の歯は粒は小さくとも丈夫そうに尖っていた。あれを勢い良く首筋に突き立てられていたら今頃はきっと愁嘆場で、とてもこんな呑気な会話をしてはいられなかっただろう。
「結局、左吉は小猿を撫でさせてもらえたんですかね」
それが叶わなければ一生の悔いになると八左ヱ門に直訴した顔の真剣だったこと。
自分の右手を見て三木ヱ門が何気なく言うと、文次郎は小猿に踏みつけにされた肩の辺りにふと手をやって、少し考えるふうにした。

乙女子の変装もとい扮装に合わせて最初はごく簡単な蝶結びを首に括り付けていたものが、中身は三郎の八左ヱ門と揉み合った時に解けてしまったから、そこに居合わせた三木ヱ門が結び直したのは確かだ。
確かにあのふくら雀は我ながら上手に出来た。が、しかし。
「得意気な顔なんて、してました?」
「した」
「ひゃー」
今更の恥ずかしさに三木ヱ門は小さく悲鳴を上げた。その素っ頓狂な声がおかしかったのか文次郎が片頬を緩めるようにしてふと笑ったのが見えて、半ば以上八つ当たりでキッと睨む。
「でも、私がそんな顔をしたからって、ずっと付けていなくたっていいじゃないですか。喜八郎が言っていたけど、立花先輩なんて指さして笑ったって――」
「そう真剣に怒られてもな」
俺がしたいようにしただけだと、今は何も巻いていない首をひと撫でして文次郎がうそぶく。
「何て言ったらいいんだか……ひよことかうさぎの形をした菓子って、あるだろ」
「……あるのは知っています」
そんな凝った作りのお菓子、小遣い銭で買える売り歩きの餅や饅頭とは違う上物だもの。四年生程度じゃご相伴に預かる機会もありません。
八つ当たり気分のままひがみっぽい目をした三木ヱ門に、文次郎は藪蛇を藪の中に押し戻すような苦笑いをした。
「そうか。なら、次の予算会議が済んだら奢ってやる。そう構えるほど高いものでもねぇし」
「……絶対ですよ……」
「お前、怖ええよ。――で、実物を見ると分かるけどな、菓子のうさぎは所詮菓子だから食うものだけど、いざ目の前にすると結構困る」
ちんまり丸い餅に切り込みを入れて長い耳を作り、紅でちょんちょんと目鼻を描いただけの「うさぎっぽい何か」でも、かじり付いて「うさぎならざるもの」にしてしまうのは何となく気が引ける。ましてそれが、こんなものが作れたと嬉しそうに供されたものなら尚更――
話すうちに文次郎は次第に胡乱な表情になってきた。三木ヱ門も拗ねるのをやめ、眉を寄せて首をひねる。
「うさぎがすずめ? ……すみません、その例はよく分かりません」
「……すまん、自分でも何を言ってるのか分からなくなってきた」
中途半端な位置で手を止めた文次郎が変な顔をする。
「さっきは嫌がってツンツンしてたじゃねぇか」
「今は今です。変ではないんでしょう?」
「……いや、自分でやってなんだが、四年が花結びはやっぱり変だぞ」
「……ふくら雀をつけっぱなしにしてた六年生に言われたくないです」
「あれを俺に結んだのはお前だろ」
「結んだ時には乙女子の仮装をしてらしたからですよ。それこそ白粉を落とした時に解いちゃえば良かったじゃないですか」
「変姿の術だ、仮装って言うな。あれはだってお前があんな――」
勢いで言いかけた文次郎がふと言い淀んだ間に、三木ヱ門は甘くなっていた結び目をしっかり締め直した。花結びが嫌なのではなく、それを見てからかおうとしているのかと思ったから抗議したのであって、動機が悪戯心にしろお遊びにしろ文次郎にそのつもりがないのなら、ひらひらとカワイイ飾り結びは別に嫌じゃない。
何しろ忍術学園のアイドルなのだから、元結に花結びを付けるくらい余裕でセーフだ。
手探りで五弁花の形を整えている三木ヱ門を横目に、文次郎がぼそっとこぼした。
「――あんな得意気な顔をするから、無下に解くのはもったいねえなとか、うっかり考えて」

耳が塞がっていたから聞いていなかった――
のを期待したが、そうでもないようだ。文次郎は下ろした手のやり場に困ったように左右の袖で交互に手のひらを拭い、そのまま胸の前で腕を組んだ。
「俺はお前と同じ、当たり前の人間だ」
「はあ、――はい」
「そんな怖れ憚られるようなご大層なもんじゃねえよ。むしろ欠点だらけだ」
組んだ腕を体に引き付けてぶっきらぼうに言う。
そうですねとも相槌を打ちかねて、曖昧に言葉を濁しながら三木ヱ門は自分の耳朶を指の先でこねる。
文次郎は機嫌を悪くしてはいない。しかし、これ以上何を言われても驚くまいと守りを固めたような気配は感じる。――そうか腕を組んだからだ、と、今の失言をどう取り返したものかフル回転中の頭の隅でちらりと考える。
左門が「面倒」をかけなかったかと尋ねた時の木下と、なぜ渡り廊下にいたのかと問い詰めた時の雷蔵、どちらも話しながら何気ない仕草で腕組みをした。それは特に意味のない動作であるのが大抵だけれど、"攻撃"を避けようとして無意識に体を庇っている場合もある――あれ、そう言えば、つづら代のことをごまかした時に伏木蔵の前で腕を組んだっけ。
マズった。
首元まで垂れた飾り結びのしっぽに耳朶をいじる手が当たり、緩みかけていた五弁花が半回転したのを元の位置に戻して、意外と鋭い伏木蔵に何か悟られていたらどうしようと今更ながら考え込む。
「それ、外しちまえよ」
「はい?」
「邪魔だろ」
飾り結びを指した文次郎がひょいと腕を伸ばそうとして、三木ヱ門は思わず後ずさった。
「あー。嫌です、このままでいいです」

いい若けぇもんじゃないけど言い訳

ブログ管理ページの仕様が変わったら「公開する」ボタンと「非公開で保存する」ボタンを間違えやすくなりました…
最近しばしばアップしたつもりの記事が上がってなくて、翌日に続きを書こうとして初めて「!?」となりますごめんなさい気を付けます。


その他そのいち。
小松田さんが「使っていない倉庫の崩れた壁」や「校庭の隅のめったに人が入らない厠の落とし紙の間」に重要なお知らせを張り出して、誰が気付くんだそんな所! と騒動になる展開は「銀河ヒッチハイク・ガイド」のパロディなのかなあ あらすじを読んで何となく思いました(以下引用)。

>ある朝、アーサー・デントの家はバイパス建設のため取壊されてしまう。
>9ヶ月前からその計画は掲示されていたというが、その掲示場所は道路建設委員会の地下の使用禁止トイレの中だった。
>その時、地球の空は巨大な宇宙船団に埋尽くされた。その船団は地球人に驚愕の事実を突きつける。
>亜空間高速通路建設に伴う太陽系第三惑星への立退命令。
>何でも50年前からアルファ・ケンタウリの事務所に掲示されていたのだという。無論それを知る地球人は皆無。あっけなく地球は消滅してしまう。


その他そのに。
大失敗のSPから一晩で一気に挽回して完璧なFSを決めた浅田選手凄い。細かい技術的なことは知識がなくて論評できないから親戚のおばちゃんノリで 良かったね頑張ったね素敵だったよ ……としか言い表す言葉が出て来ないのがもどかしい。
個人戦を棄権したプルシェンコ選手の人工椎間板のボルトが折れていたとニュースで読んだ瞬間、自分の腰がギリィ…としました…。その状態で団体戦は滑ったのかあなたは。


以下は不快を呼ぶかもしれない記述なので続きに下げます。
ソルトレークシティ五輪と2002サッカーワールドカップの話 で予防線。
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