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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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木下を追って行った八左ヱ門が逃げたはずのその小猿を木下から渡されて、最初の脱走は意外に早く終わった。が、小つづらに押し込めて縄をかけた上で人目につかない場所に一時隠している間に、小猿はつづらを噛み破って再び逃げ出した。
文次郎は珍しい小猿が逃げているのは知っていた。
けれど、それは一度目の脱走のことだ。その動機は首飾りを探すためではなく、人間の都合で振り回される苛立ちが限界突破した挙句の自由への進撃だ。
水練池の傍で気まずい鉢合わせをした時、文次郎は八左ヱ門に向かって「猿は見つかったか」と尋ねた。が、文次郎が小猿のことを口にしたのに驚いた八左ヱ門は「はい」とも「いいえ」とも言えずに、ただ変な声だけ上げた。その後、小猿にまつわる物騒な事情をすっかり知ってしまった三木ヱ門がだんまりを決め込んだのだから――
一度は捕獲されていることを、文次郎が知る機会はなかった筈だ。
「飼育小屋の中で大事、大事に隠されていた猿が、脱走する以前に学園の敷地内で落とし物をしていたとは思えない」
かたかたと首を回して振り向いた三木ヱ門に、面倒な問題を解く手掛かりを教える口調で文次郎が言う。

大雨の中を相合傘で向こうから歩いて来たカップルの女の子がちゃんと自分の傘を閉じて持っていた。

という状況が理解できなすぎて会社で話したら「女子力がないとねー…」と言われてますます理解できない。
だって彼女の方に2/3ぐらい傘を傾けてるから彼氏の肩がびっしょりで、寒いし濡れたら気持ち悪いし微笑ましい以前に気の毒ですよ。家から持って出た傘が途中で使えなくなるくらい壊れたのでもなかろうに。ぬーん。

学生時代に友人から「あたしがいるのに新車のバイクを事故で廃車にしたくらいで彼氏がへこんでるのが超ムカつく」と聞かされて「いやそれどういう理屈?」と思った時と同じ感覚だこれ。


続きからメルフォの返信です。
覚えているのにそれをわざわざ問いかけてくるのは、何か見落としているから?
「いつ……」
呟いて、考え込む。
脱走した小猿が木に登って、何かの拍子に首飾りの留具が壊れ、下に置いてあった鹿子の砲腔に落ちた。
三木ヱ門はその時、手入れに使った道具の掃除と後片付けの為に鹿子のそばを離れていた。道具の汚れを落とすのに手間取ってしまって、戻って来るまで予想外に時間を食ったっけ。
それでも、首飾りが落ちたところにたまたま通り掛かった作兵衛が「鹿子を壊した!」と思い込み、砲身に腕を突っ込んでキラキラ光るものを拾おうと奮闘しているのを見とがめたのは、左門が角場で捕まえた小猿を外出しようとしていた木下に預けるより前のことだ。
やっぱり一度目の脱走の時で間違いない。
――と言おうとして、ふと引っ掛かった。

小猿は最初の脱走で不運にも首飾りを失くした。
そして、お気に入りの逸品を探そうとして二回目の脱走を決行し、文次郎が手にしていた首飾りを取り戻した。

首飾りを失くしていなければ、「それを探すため」は脱走の動機にはならない。

どうしてって、それが事実だからに決まっている。だから文次郎は「三度目の脱走はさせるな」と八左ヱ門に釘を刺したのだし、生物委員会と生き物の脱走は常にセットメニューだ。その忠告は何も不自然ではない。
……しかしよくよく思い出してみると、そう言われた八左ヱ門は、何故か絶句した後にたちまちかしこまった。
要領を得ない様子の三木ヱ門に、まだうっすら笑みを残した声で文次郎が言う。
「首飾りを持っていた俺に猿が飛びかかって来たな」
「はい」
確かにその通り。まさにその瞬間を三木ヱ門は見ていた。
「俺はその時に、どこかで失くした首飾りを探すためにあの猿は脱走したんじゃないかと、竹谷に言った」
「はい」
そうかもしれない、と八左ヱ門は答えた。その会話を三木ヱ門は聞いていた。
「じゃあ、猿はいつ首飾りを失くしたんだ?」
「はい?」
思いがけない質問に三木ヱ門の目がくるりと回る。
そんなのは分かり切っている。閉じ込められていた檻を抜け出すのに成功して学園内を気ままに散策していた時だ。この騒動の一番初めの頃すでに、捕獲道具を抱えて走り回っている生物委員の一年生たちに出くわし、珍しい小猿を見なかったかと尋ねられているのだ。
白面紅目のもののけじみた化粧をしていた為に退魔の真言を浴びせられた文次郎だって、それくらい覚えているはずだ。


戯話に雛祭り話を掲載しました。殺伐雛人形。
室町時代はまだ飾り雛がなかったそうなので、凄腕は美形夫婦から現代で言うところの「雛人形」は連想していません。

舞台設定のモチーフはたぶんもう少ししたら大河ドラマに出て来る三木合戦です。
というかそれを題材にしたしばりょの短編「雑賀の舟鉄砲」です。嫌々援軍に来た部外者の雑賀衆まで虜にする美男美女城主夫妻のカリスマ性おそろしやーな話です。


今年の大河主人公の黒田官兵衛は結構好きな武将です。頭がいいくせに妙に人間臭くて、逸話がいちいち面白い。
「お前は本ッッ当に嫌なやつだな!」と言われたら黙ってニヤニヤしながら見つめ返すけど、「お前は本当に凄いやつだなあ」と感心されたら「うへへへへへ」と笑いながらエビのように後ずさりでフェードアウトするイメージです。失敬甚だしい。

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