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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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これが伊作だと、突っかかる三郎を笑顔で「はいはい」と受け流してまともに取り合わない。仙蔵ならあとで趣向を凝らした三倍返しが来るのが恐ろしい。小平太は「そんなことより鍛錬に付き合え」と首根っこを掴むだろうし、長次はそもそも三郎の繰り出すいたずらに関心を持たない。留三郎はそこそこ面白がって相手をしてくれるが、途中で唐突に飽きることもままある。
そんな六年生評をしながら、勘右衛門はまだ待機していた二、三羽のすずめを優しく追い払った。
「今もだって、どう見ても三郎が八つ当たりで絡んでるんだから、適当にあしらうか無視したっていいところじゃない。それなのにきっちり付き合ってくれるもんね」
「潮江先輩は真面目な方なんです」
常に本気、いつでも真剣。時にそれが自分自身にとっての負担になっていることもあるようだけど、それさえ迂遠な方法は取らずに正面突破で乗り越えようとする。三木ヱ門の知る潮江文次郎はそんな人だ。
「うん。ああ、他の六年生はマジメじゃないって意味じゃないけど――そういう先輩がいてくれるのって、ありがたいんだよ。三郎みたいなヤツには特に」
ふざけるのも大概にしろと口では叱りながら、ぎりぎりの線までは受け容れて、気の済むように遊ばせてくれるから。
「まぁ、やり過ぎれば当然ぶっ飛ばされるけどさ。少なくとも潮江先輩は"面倒くせぇ"って頭からはねつけることはしないよね」
「そう……ですね」
拗ねていじけていた今の三郎が「面倒臭い」なら、学園内を巡りながら埒もないことをうだうだと考え込んで煮詰まっていた今日の三木ヱ門だって相当なものだ。しかし、文次郎はそれを煩わしがって三木ヱ門を突き放したりはしなかった。
ところでたった今、文次郎は三郎を突き放したそうにしている。
服を掴むだけでは間に合わず、後ろから腰にがっちり腕を回して完全に捕らえられてしまい、身動きもままならなくなったからだ。
「なあ、尾浜、どうなってんだこれ。こいつ、すずめに大きいつづらを背負わされたことでもあるのか」
「さあ。私は廊下が騒がしいからちょっと覗きに出ただけですもん」
「潮江先輩、これはたぶん作法に拉致された後遺症では……」
「……あ。天井裏に檻、とか言ってたやつか」
三木ヱ門の推理が腑に落ちた様子の文次郎は、しっかりくっついて離れない三郎の頭をぽんと叩いてため息をついた。

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