忍者ブログ
. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
文責
written by 大鷲ケイタ
バーコード
忍者アナライズ
05
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

木下を追って行った八左ヱ門が逃げたはずのその小猿を木下から渡されて、最初の脱走は意外に早く終わった。が、小つづらに押し込めて縄をかけた上で人目につかない場所に一時隠している間に、小猿はつづらを噛み破って再び逃げ出した。
文次郎は珍しい小猿が逃げているのは知っていた。
けれど、それは一度目の脱走のことだ。その動機は首飾りを探すためではなく、人間の都合で振り回される苛立ちが限界突破した挙句の自由への進撃だ。
水練池の傍で気まずい鉢合わせをした時、文次郎は八左ヱ門に向かって「猿は見つかったか」と尋ねた。が、文次郎が小猿のことを口にしたのに驚いた八左ヱ門は「はい」とも「いいえ」とも言えずに、ただ変な声だけ上げた。その後、小猿にまつわる物騒な事情をすっかり知ってしまった三木ヱ門がだんまりを決め込んだのだから――
一度は捕獲されていることを、文次郎が知る機会はなかった筈だ。
「飼育小屋の中で大事、大事に隠されていた猿が、脱走する以前に学園の敷地内で落とし物をしていたとは思えない」
かたかたと首を回して振り向いた三木ヱ門に、面倒な問題を解く手掛かりを教える口調で文次郎が言う。

Copyright c 高札場 All Rights Reserved
PR
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ / [PR]