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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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乙女子の変装もとい扮装に合わせて最初はごく簡単な蝶結びを首に括り付けていたものが、中身は三郎の八左ヱ門と揉み合った時に解けてしまったから、そこに居合わせた三木ヱ門が結び直したのは確かだ。
確かにあのふくら雀は我ながら上手に出来た。が、しかし。
「得意気な顔なんて、してました?」
「した」
「ひゃー」
今更の恥ずかしさに三木ヱ門は小さく悲鳴を上げた。その素っ頓狂な声がおかしかったのか文次郎が片頬を緩めるようにしてふと笑ったのが見えて、半ば以上八つ当たりでキッと睨む。
「でも、私がそんな顔をしたからって、ずっと付けていなくたっていいじゃないですか。喜八郎が言っていたけど、立花先輩なんて指さして笑ったって――」
「そう真剣に怒られてもな」
俺がしたいようにしただけだと、今は何も巻いていない首をひと撫でして文次郎がうそぶく。
「何て言ったらいいんだか……ひよことかうさぎの形をした菓子って、あるだろ」
「……あるのは知っています」
そんな凝った作りのお菓子、小遣い銭で買える売り歩きの餅や饅頭とは違う上物だもの。四年生程度じゃご相伴に預かる機会もありません。
八つ当たり気分のままひがみっぽい目をした三木ヱ門に、文次郎は藪蛇を藪の中に押し戻すような苦笑いをした。
「そうか。なら、次の予算会議が済んだら奢ってやる。そう構えるほど高いものでもねぇし」
「……絶対ですよ……」
「お前、怖ええよ。――で、実物を見ると分かるけどな、菓子のうさぎは所詮菓子だから食うものだけど、いざ目の前にすると結構困る」
ちんまり丸い餅に切り込みを入れて長い耳を作り、紅でちょんちょんと目鼻を描いただけの「うさぎっぽい何か」でも、かじり付いて「うさぎならざるもの」にしてしまうのは何となく気が引ける。ましてそれが、こんなものが作れたと嬉しそうに供されたものなら尚更――
話すうちに文次郎は次第に胡乱な表情になってきた。三木ヱ門も拗ねるのをやめ、眉を寄せて首をひねる。
「うさぎがすずめ? ……すみません、その例はよく分かりません」
「……すまん、自分でも何を言ってるのか分からなくなってきた」
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