忍者ブログ
. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
文責
written by 大鷲ケイタ
バーコード
忍者アナライズ
05
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

しつこくしぶとくからかわれる程度なら大分ましだ。これを学園中に言い触らされたくなければ、と予算会議の切り札として「取っておく」ことを思い付かれたら、ただでさえ穏やかに済まない話し合いが拗れることは間違いない。
と言って、いま火薬委員たちに唐輪髷のことは仙蔵には黙っていろと釘を刺せば、これが会計委員長の弱味になるとわざわざ教えることになる。だから言い出しかねた文次郎は口をつぐんでしまったのだが、交渉カードを火薬委員会に保持されてもそれはそれでこれから行う監査も含めて色々なことがやり難い。追い込まれた者が厳しい詮議を逸らそうとして追及者の醜聞を声高に言い立てるなんて、よくある話だ。
「よくある」のはつまり、それが有効な手段だからだ。
食満先輩が"鼻薬"の実態を探ってくれと交換条件を出してきた時、「何かのために情報として取っておく」と言っていたのは、こういうことなのか。
……いや、のんびり思い出している場合じゃないか。この状況をどう切り抜けよう――
「斉藤。その箱を置いて三郎次の耳を塞げ」
「へ。三郎次の? 耳ですか?」
急に文次郎が奇妙な指示をした。きょとんとしながらタカ丸は素直に箱を地面に下ろし、事態が飲み込めない様子の三郎次の耳を両手で覆う。
「はい、塞ぎました」
「わっ」
タカ丸が報告するのと同時に文次郎は三木ヱ門の耳に両手を押し当てた。少し冷えた耳朶に染み入る手のひらの熱と、微かな風鳴りのような音で耳の中がいっぱいになって、そのまま何かを話し始めた文次郎とタカ丸の声はぐんと遠のく。
三郎次の頭をしっかり挟んで二言三言ほど口を動かしたタカ丸が、目を見開いた。それに対するように文次郎が喋る低い振動が、耳を塞ぐ手を通じて三木ヱ門の頭蓋骨にじんじん響く。
「――ま、そういう訳だ」
ぱっと手を離した文次郎がやや投げやりに聞こえる口調でそう言うと、タカ丸は神妙な顔つきでかくんと頷いた。
「はあー……忍術学園て、やっぱり大変な所ですね」
Copyright c 高札場 All Rights Reserved
PR
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ / [PR]