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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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頭巾を折って作った五弁花が元結の所で少し緩んで、へろりと横に倒れる。
揃って固まった会計委員たちに、タカ丸は「信じらんない」と呆れ顔をした。
「唐輪髷が載ってるなら、立花先輩が持って来た図会って」
「作法委員会で使う資料だよ!」
「それでも、先輩は知っていたんでしょ? 吊るし柿じゃないほうの柿暖簾を潜ったことのあるなしはともかく」
「知っていればやらない!」
それを見ながら仙蔵が生首フィギュアで試していたのを見覚えていただけだと抗弁する同い年の先輩に、そんな初心い十五歳がいるものかなあとばかりに、流行に敏感な髪結い見習いは胡乱げな目を向ける。
「可愛く飾り結びまで付けたのに?」
「それは――」
「つまり、」
上級生たちのひそひそ話に無関心そうにしていた三郎次が突然声を上げた。一斉に注目を浴びても怯む様子もなく、逆にじろりと眺め返す。
「潮江先輩は田村先輩に遊女の髪型をさせて連れ歩いてたんですね。わーあ、趣味悪い」
聞いていないように見えてしっかり聞いていたらしい。火薬委員会の敵対者たる会計委員長をすくい上げるように見上げ、わざと小憎らしい感じに顎を突き出してみせる。
しかし二年生が臆面もなく「遊女」と言ってしまう辺り、タカ丸の教育的配慮台無しである。
「三郎次、意味が分かって言ってる?」
「知ってますよ、それくらい。実家は漁が生業だから、買い付けにいろんな人が来ていろんな話をしていくし」
例えばこういう話題が――と三郎次がするすると話しだすと、拍子抜けしたように目をしばたたかせて聞いいたタカ丸は、泡を食ってそれを止めた。
「待った待った待った。それは話を知ってるだけだよ、やっぱり分かってない」
「なにか違うんですか?」
「大違いです!」
人前でそういう話をしてはいけませんとタカ丸が真剣にたしなめるものの、三郎次は不承不承な様子で首をひねっている。
実のところ三木ヱ門は三郎次が話したことの意味が分からない。
分からないが、また文次郎が明後日の方に視線を飛ばしてしまったので、なんとなく見当はついた。


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