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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「で、作兵衛は田村を見るたびに逃げ回っていたそうだが」
先輩たちは何の話をしているんだろうときょろきょろしていた作兵衛が、文次郎に名前を呼ばれてぴしっと背中を伸ばす。
「それはふたりで直接話して解決できたんだろう」
「はい」
「はあ」
ちょっと顔を見合わせて三木ヱ門と作兵衛が頷くと、文次郎は首がすわらない赤ん坊のように揺れている留三郎を睨んで、「へっ」と蓮っ葉に鼻を鳴らした。
「お前が仲裁することになってたのに、保健の一・二年に捕まって抜け出せなかったんだってな」
「おお、そりゃ喧嘩売ってんのか? 釣りはいらねえぞ」
一歩前へ出ようとする留三郎を作兵衛が慌てて引き戻す。急に反論を始めた文次郎はその場から動いていなかったが、それでも反射的に腕を引こうとした三木ヱ門は、まだ指が絡まっていることにその時気が付いた。
後輩にそれぞれ腕を取られた留三郎と手を握られた文次郎の言い争いとは、傍から見たらさぞ訳の分からない光景だろうと、他人事のようについ考える。
「違えよバカ。頼りにならねえ野郎だって話だ」
六年のくせにと文次郎がすっぱり切り捨てる。思い当たる点が大いにあるらしい留三郎は若干ふくれっ面になったが、黙っている。
「交換条件で約束したことも果たせない、独断で賭けをして予算をスる、挙句下級生に要らねぇ苦労をかける、で最上級生でございと威張れるのか? お前は」
「……む」
賭けラットレースの件を文次郎に持ち出されるのは意外だったのか、留三郎が痛恨の表情で呻いた。

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