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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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※昨日分は書きかけの状態で公開していました。大変失礼いたしましたー!!!

適役ですときっぱり言って、八左ヱ門は少し笑った。
「例えば三郎みたいな――要領がいいやつは得だよなぁ、と思うことはありますが、性分ですから」
「そう言やぁ今日の鉢屋は竹谷だったな」
向かい合う八左ヱ門の顔を半眼になりながらじいっと眺めて、文次郎は「ムカつくぐらいそっくりだ」と呟いた。三郎が変装していた八左ヱ門にそうと気付かずに詰め寄ったのを思い出したのか、わずかに口元を歪める。
「けど、お前はそれで助かってる」
「……と、仰いますと」
「ひとつ目は俺がお前と間違えて鉢屋を吊り上げた。二つ目は、お前の代わりに鉢屋が仙蔵にひっくくられた。今頃は長屋で伸びているらしいが」
「うわぁ」
大分滑舌が治って来た文次郎の言葉に、あながち冗談でもない悲鳴を上げ、片手を顔に当てて八左ヱ門が身を引いた。
三郎が解放されたということは、忍雀に八左ヱ門の"顔"を覚えさせるのは済んだということだ――と、ふと三木ヱ門は思い当たった。これからのち八左ヱ門は間諜の雀による監視生活が始まるのか。しかし小猿は今日で返してしまうのだから、もう生物委員たちがこそこそする必要はないわけで、そうすると仙蔵は一歩遅かったと……
その八つ当たりが同室の同級生に向かわないといいんだけど。
「ええと……馬借の清八さんに待って頂いているので、一年生たちを連れて行ってもよろしいですか」
「あ。あのさ、竹谷」
腰を上げようとした八左ヱ門の背中を伊作がひょいと掴んだ。口を尖らせたり横に伸ばしたりしばらくむぐむぐしてから、「あとで、でいいんだけど」と小さい声で言う。
「今は忙しいんだよね? だから、ほんと、後で」
「何かご用がおありでしたか」
「……ちょっと真面目な話があります」
思い詰めたような伊作の口調に、八左ヱ門が不思議そうな顔をした。


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