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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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ふうん、と素直に感心する小平太に、少しでも休む時間を稼ぎたい四郎兵衛が質問する。
「七松先輩は何の役をなさったんですか?」
「私は祭司その三だ。男だから化粧はしないし、装束までは揃えていないから、祝詞を読み上げて御幣を振ってすぐ終わった」
だから実習が済んだあとは化粧品や小道具で遊んでいた、とけろりとしている。備品の御幣と鏡でちゃんばらをやらかしたら逆上するのは吉野先生か作法委員長か、と考えて、三木ヱ門はふと引っ掛かった。
ついさっき似たような台詞を聞いたような――?
「……と言うことは、つまり……あれ?」
ひとりで首をひねっている三木ヱ門を胡乱な目で見やり、滝夜叉丸が生物委員たちに尋ねる。
「お前たちは何を……、今日は何が逃げたのだ?」
捕獲道具を手に手に落ち着かない様子でいるのを見て取り、途中で言葉を変える。
「猿です。ただの猿です」
喋りかけた孫次郎の袖を強く引いて虎若が答えた。そして三木ヱ門にさり気ない、しかし射るような目配せをして、つぶらな瞳をちまちまと瞬く。文次郎が口走った「唐天竺や南蛮」が、どうやら的を射ていたらしい。
お邪魔しましたどうぞごゆっくりー、と馬鹿丁寧な挨拶をして、生物委員たちもそそくさと穴から出て行く。
「なんか……変なの」
同級生たちを見送った金吾が、ボソッと呟く。
「そうだ。三木ヱ門、お前に返すものがあった」
不意に滝夜叉丸が言い、手にしていた縄をくいくいと引いた。鵜飼の鵜よろしく緑色の制服が前へ出る。
「三之助、……と、左門? なんでお前がここに?」
「進退は迷うなかれの一念で進んだ結果、綾部先輩の掘った穴に落ちていたところを、そこへ掘り進んで来た体育委員会に合流しました!」
縄で厳重に繋がれた左門が悪びれたふうもなく言う。その間にも、三之助はフラフラと明後日の方向へ足を踏み出そうとしている。
「お前なあ……。まさか、見えている穴に向かって突っ込んだんじゃあるまいな」
「しかし田村先輩。西には西だけの正しさが、東には東の正しさがあるのです」
「……つくづく実感したが、こいつらをまとめて引き回す作兵衛は凄いな」
珍しく滝夜叉丸が褒め言葉を口にした。




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