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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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聞き終えた兵助が「え」と声を漏らし、はたりと瞬く。
長い睫毛の先が文次郎に向いた。
大きく開いた目に浮かぶ色が、先程までと少し違う。
「何を吹き込んだ、仙蔵」
「んっふふふ」
「久々知」
悪い予感しかしない文次郎が警戒の目を向けると、いたずらめいた表情の仙蔵は含み笑いするだけで答えず、それならと矛先を変えられた兵助は視線を避けるように片手で顔を覆った。
「いえ……、何があっても、潮江先輩は仰ぐべき先輩だということを、私は承知していますから」
「仙蔵!」
睨まれるのを厭うたのではなく文次郎のために嘆いてくれたらしい。凄い勢いで向き直る文次郎に、仙蔵は涼し気に笑いかけた。
「私はこのへんで席を外そう。邪魔したな」
ひょいと立ち上がり、「ついでに」と一同を見回す。
「あまり大きな声を出さないで話をして貰えるとありがたい。ここは医務室だ。そうだろう、伊作?」
「うん?」
言われるまでもない事実に念を押されて訝しげに伊作が首をひねる。
確かにここは医務室で、騒がしくするのはご法度ではあるが、今のところ安静をとっている患者はいないから仙蔵が改めて言うほどのことではない。
「大声を出すと驚いてしまうからな」
ちらっと出入口の方を見て、仙蔵はどことはなしに意味有りげな言い方で言う。

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