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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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追及されなかったことで逆に不安を覚えたのか、兵助の眉のあたりがちらりと曇った。余裕のある態度を保とうとしているが、きちんとした姿勢で正座をしているのに、重心の落ち着け場所が定まらないかのように何度か小さく腰を浮かせて座り直す。
そんな兵助の様子を横目に見ながら三木ヱ門は考えた。
土井が持って来た伝手、というのはおそらく本当だ。裏予算案を実行しそこなった雷蔵を詰り口論になった時、「顧問を引き込んだ」「新しく買い入れ先を開拓できた」と口走ったのが、図らずも裏付けになっている。その辺の記憶がないということは、三木ヱ門に確信を与えた自覚もないのだろうけれど、脳が溶けそうな会話に付き合った甲斐が少しはあったというものだ。
……すると、鳥の子玉の制作費として計上した予算はそのままプール金になって「つづら」の中――という流れはやはり土井も承知している、と考えられる。作った鳥の子玉は全て誤って破裂させましたという土井の署名付きの一筆は、顧問による裏予算案への加担だ。
虚偽記載、というか虚偽報告になるのかな? そこを突っ込むなら、鳥の子玉を作ったというのがそもそも嘘だという証拠を会計が上げないとならないけれど、無いものが「無い」ことを証明するのは途轍もなく難儀だ。タカ丸さんを揺さぶったらぼろぼろ吐きそうではあるものの、自白証拠だけでは後になって「脅されて仕方なくそう言った」と言い抜けられる可能性がある。学生の自治に教師が嘴を突っ込んできた、と論点をずらして非難しそこから捻じ曲げて本題へ持ち込むという戦法は――事態がややこしくなるだけだろう。
難しい。
「俺からもひとつ聞く」
黙ってしまった三木ヱ門の代わりに、文次郎が口を開いた。
兵助の目がぎくりと揺れる。
「……何でしょうか」
「俺が焔硝蔵の前を通った時、お前は扉の前に立っていて、中にいるやつと話していたな」
「はい。在庫を調べている途中でしたので」
「中には誰がいたんだ」
「伊助です。あの時もそう答えました」
「誰がいたんだ」
文次郎が抑揚のない声を重ねると、兵助は正直にもわずかに言い淀んだ。

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