忍者ブログ
. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
文責
written by 大鷲ケイタ
バーコード
忍者アナライズ
06
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

雷蔵と同様、互いに問い詰め、問い詰められた一幕は覚えているようだ。そして落とし穴に嵌まってぬるぬるべたべたになった時点から現在までの記憶がすっぽ抜けている。
喜八郎が仕掛けたダークマター製の「何か」はひょっとして惑乱作用だけではなく、人の脳内にある記憶を貯める場所に蓋をしてしまう効果もあるのではないだろうか。そこまで狙って作ったとはあまり思いたくないが、伊作は目をきらきらと輝かせて兵助を上から下まで何度も眺め回している。
その熱っぽい視線を戸惑いながら避けつつ、兵助は三木ヱ門を促した。
「寝起きだからまともに答えられるかどうか分からないけど、それでいいならどうぞ」
早々に布石を打ってきた。
では、と語調を改めて三木ヱ門もかしこまる。
「焔硝蔵で先にお会いした時、今までとは違うルートから多少安価で火薬を購入したと伺いました」
「うん、話したな。報告書にもその通りに記入した覚えがある」
「はい。まだ精査はしていませんが、領収書と支出の記述はほぼ一致していたと思います――が、その新しい買い入れ先は、どうやって探されたのですか」
「シャムに現地法人を置いてる南蛮商人の伝手が火薬委員会顧問の土井先生から回って来た」
生産者と販売者の間に中間業者が介入しない分、売価が少しだけ安くなるという仕組みだ。
「でも、先生がその伝手をどこから持って来たのかまでは個人的な交友関係の範囲だから、生徒は誰も知らないよ。――さしもの会計委員会もそこまでは追わないでしょう?」
「そうだな。守備範囲外だ」
やや皮肉っぽく尋ねる兵助に、文次郎はあっさり認めた。
ただし会計委員長の頭の中にある「胡散臭いものリスト」の書き付けは増えたに違いない。

Copyright c 高札場 All Rights Reserved
PR
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ / [PR]