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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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希少な薬草を使って調合した貴重な薬は、イカサマレースで生物委員会のねずみを勝たせるという目的を達した後とはいえ、その大部分を無駄にしてしまったことになる。
もったいないな。
いや待てよ。自分で立てた仮説を自分で疑うのもなんだけど、本物入りの瓶がひとつだけとは限らないか。不可抗力でこぼれたり瓶が割れてしまった場合のリスクに備えて、ふたつ以上は用意していたかもしれない。もしかすると全ての瓶が本物だったのかも?
いずれにしても、善法寺先輩に下級生の私室の家探しはできないのだから。
……蜜漬け薬の薬効が薄れる前に人が口に入れないように、長過ぎる持続期間のことは後でこっそり竹谷先輩に伝えておこう。何だかんだと面倒を被ったお返しに、思いっきり恩着せがましく言ってやろうかな。
三木ヱ門が不埒なことを考えている間に、伊作にお盆を持って行かれて手持ち無沙汰にしていた腕を胸の前で組んだ文次郎は、「ふうん」と小さく唸るような声を出した。
「不運?」
「ただの間投詞だ」
眉を下げた伊作へすげなく言って、文次郎はすっと目元を険しくした。
「お前がなんのかんの動き回っていたのは要するに、薬を作るのを失敗したり実験をしくじったりしたのをごまかそうと工作していたってことだな?」
「ご、ごまかすって言うと言葉がきついよ。大事になる前に対策を講じた、とも言える、だろ?」
「大事になりかねない原因を作ったのがそもそもお前なんだろう」
「……あー。うー。……はい、そうです」

バカタレィ、の大喝が医務室の壁や床をびりびりと震わせた。

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