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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「田村がうろうろしていたのは委員会活動の一環なのだろう? なら、報告を聞かなければ意味がないではないか」
そんなことを言い出した動機はともかく、仙蔵がもっともなことを言う。
学園一クールで落ち着いているという評判だけど立花先輩って意外と面白がり屋なんだ、と三木ヱ門が目をぱちぱちさせているのを横目に、文次郎は無愛想の度を一層増して答える。
「聞くべきことは聞いた」
「聞きたいことは聞いていないという顔だが」
「余分の情報はいらねえ」
「へぇ~」
軽く仰け反った仙蔵が裏返り気味の声を出した。珍しく悪乗りしたふうの芝居臭い態度だが、驚いたのは本当らしく、姿勢を戻したあとはまじまじと文次郎の顔を眺めている。
真正面からばっちり視線を合わせられた文次郎はまごつく様子もなく、顎を引いて敢然とそれを睨み返す。
「田村」
文次郎と見合ったまま仙蔵が呼んだ。
微かに笑みを含んだ声音に警戒しつつ、三木ヱ門は「はい」と返事をして背中を伸ばす。
「お前は一体どんな手管を持っているんだ?」
「て、てくだ?」
「この鍛錬バカが」
ついと三木ヱ門に顔を向け、仙蔵は手を上げて文次郎を指差した。
「こうも人に"甘い"のは、この六年間でもそうそう見たことがない」
どうやってこいつを蕩かしたんだと、からかう気満々で大真面目な顔をする仙蔵の手を、文次郎が叩き落とした。
「何をする、痛いじゃないか」
「人を指差すなと何度言えば分かるんだよ、お前らは!」
「本題はそこじゃないだろう? 耳のふちが赤いぞ」
「んなっ」
「つまり田村を信用してるんだよねえ」
妙にしみじみと伊作が言い、ゆうらりと首をもたげ三木ヱ門を見て、「おや、こっちもカラスウリだ」と笑った。

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