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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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仙蔵が間諜のすずめをほうぼうへ放っていると知っても、それが不愉快だと言って手当たり次第にすずめを討ち取るほど文次郎は短慮ではない、と思う。
しかし自分の口から忍雀の話をするのは絶対に嫌なので三木ヱ門は強引に話題を戻した。
「善法寺先輩の性格を利用して三重策を張った――、というところまででしたね」
「ふむ、それで? 続きはどんな話になるんだ?」
もっともらしい顔で仙蔵が先を促す。
文次郎は片目を細めてそれを睨み、三木ヱ門へ「一旦止まれ」と言ってから、尖った声を投げた。
「何しに来たんだよ、お前は」
「喜八郎に連絡があって探していた。医務室前の廊下にいると聞いて来たのだ」
「なら、もう用は済んだんだろ。帰れ帰れ」
しっしっと手を振って追い払いこそしないものの、今にもそうしそうな雰囲気を漂わせて文次郎が急き立てる。不興げにくるりと瞳を回した仙蔵は、その目を三木ヱ門に据えると、不意ににっこりと微笑んだ。
途端に背骨を駆け抜けた戦慄に弾かれて三木ヱ門は思わず姿勢を正す。
「田村は今日の放課後、ずいぶんと忙しかったようだな」
「へ? ……あ、ええ、そう……ですね」
「散々な目にも遭ったようだ。教室の隅で囲まれて寄ってたかって恐喝されたり、水練池の傍で密か事をしたり――」
何故それを知っている、と今更言うまでもなく、忍雀が持ち帰った情報で仙蔵は先刻承知なのだろう。
それにしてもわざわざ語弊のある言い方をしてくれる。水練池という言葉が出た瞬間、文次郎の目元がぴりっと引きつったのを、三木ヱ門は見てしまった。
仙蔵もそれを見逃さなかった。嫌な顔をされるのもなんのその、にんまりと文次郎に笑いかける。
「おやおや。気になるのか。その辺りの話は聞いていないのか?」
「じゃなくて、聞かねえんだよ」
仏頂面の文次郎がぶすっと言い返した。


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