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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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仙蔵と喜八郎のどちらに先に答えたらいいのかと伊作が戸惑う間に、喜八郎が畳み掛ける。
「不破先輩を部屋に帰らせるまで私の仕事が終わらないんです」
「え?」
「そこまでするのが責任だそうですので」
「ええ?」
喜八郎が言うことの意味がさっぱり掴めないらしい雷蔵が、右に左に首を傾げる。
日頃は穴を掘ったら掘りっぱなしで留三郎に飽きることなく叱られている喜八郎にしては、珍しく殊勝な態度だ。よほど伊作に骨身に染みる説教をされたのかと三木ヱ門は考え、滅多なことでは打っても響かない喜八郎に一体どんな叱責を並べたんだろうと、温顔の保健委員長の底知れなさにふとゾクッとした。
その保健委員長は、やや真面目な表情になってしげしげと雷蔵を検分している。
「気分は悪くない?」
「はい。少し、ぼんやりしてますけど」
「ふんふん。まともに会話もできてるし、視・知・聴覚と意識レベルは問題ないね」
「……会話ができないくらい重症だったんですか、私」
「できたけど、噛み合わなかっただけ。で、話の内容の整合性はとれていたのが興味深いんだよなあ。……綾部、あの粘着剤の原料は何なの」
「粘着剤」
そこだけオウム返しした雷蔵が真顔になった。
秘密でーすと軽く言い、立ち上がった喜八郎は固まる雷蔵の腕を取る。
「潮江先輩がそう仰るから久々知先輩は置いていきますけど、不破先輩は部屋に戻っていただきます」
「……待って。いや、部屋には帰るけど、何だか綾部が近くにいると神経がびりびりする」
「えー。それって恋ですか」
「絶対違う」
喜八郎以外の全員が唱和した。

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