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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「結局私が暴露してしまいましたけど、善法寺先輩がいずれ生物委員たちの持っている瓶の存在に気付くことも、竹谷先輩の想定の内だったと思います」
しかし下級生のもとにある四つ乃至五つの瓶のうちのどれかが本物だと当たりをつけたところで、伊作にそれを盗み取ることはできない。忍術学園の六年生なのだから技術的に盗めない訳ではないが、そこに立ちはだかるのは無垢の信頼だ。
「……そ、それくらい、出来なくて何が忍者か!」
「左吉。こっち来い」
くわっと目を見開いて力む伊作の横から、文次郎が左吉を呼び寄せる。そして伊作と正対する自分の前に座らせ、後ろから両手で左吉の頭を挟むと、ぐりんと軽く仰向かせた。
「この顔を見てもそう言えるか?」
文次郎の意図を察した左吉は、きらめく双眸からきらきらした何かが迸り出そうな"無邪気な顔"で、両手を胸の前で組みさえして、一心に伊作を見詰める。
……意外とノる。て言うか、あざとい。
鼻白んだらいいのか笑えばいいのかと三木ヱ門は内心で少し迷ったが、伊作にはてきめんに効いた。がっくりと肩を落とし床に両手をついて呻く。
「うう……、卑怯な」
「返却を迫られたら偽物を渡す、本物は偽物の中に混ぜて隠す、隠し場所は優しさゆえに下級生を裏切れない善法寺先輩なればこそ手を出せない所、という三段構えの策を巡らせた竹谷先輩の勝ちです。今回の件は」
「だな」
左吉の頬をぐにぐにとこね回しながら文次郎も同意したが、その後でちょいと口を曲げた。
「同室の野郎は平気で欺いたのにな」
「同級生なら詐術に気付けない方も悪い。部屋に忍び込まれる隙を見せるようなやつも悪い」
「開き直りやがったよこいつ」
「文次郎、お前の部屋の天井裏には――」
「何もねえよ! あったとしても仙蔵のだよ!」
「呼んだか」

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