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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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三木ヱ門の表情や目の動きから、小猿が面倒な事情を背負わされていることに言及するのはまずいようだと察したらしい。話し終えた伊作は、何しろ訊問中なので「涼しい顔」と言えるほど飄々としてはいないものの、いかにも反省しているように見えるごく自然な態度でちんまり座っている。
一方、頬に手を当てて黙っている文次郎は、何か考えている表情ではあるが、伊作の弁解に反駁しようとはしない。
薬草の伝手はどこから出て来たんだとか、あの小さな猿になぜそんなに金がかかるんだとか、追及したいことは山とあるはずだ。しかし、生物委員会と三木ヱ門が共有し尚且つ隠している事柄について「問い質さない」と宣言した通り、口をつぐんでいる。
――俺は田村を信用してるし、頼りにしている。
まるで怒っているように言った文次郎の声が耳の中に蘇った。
空咳を飲み込んで、三木ヱ門はしおらしくしている伊作にやや硬い声を掛けた。
「生物委員会に協力した代わりに高――、ええと、手に入れにくい薬草を手に入れる頼りができて、その為に今、医務室は薬が潤沢にあるということですね」
「うん」
こっくりと伊作が頷く。
「それを善法寺先輩は"鼻薬"と称していらした」
「ドーピングのことを他言しない代償に生物委員会を強請りました、とはさすがに下級生には言いづらいかったんだよね……」
それを文字通りに受け取った乱太郎や伏木蔵が、他の生徒に"鼻の薬"を勧めていたのは予想外だったと頭を掻く。
うちの後輩たちは仕事熱心なんだ。不運だけど。
「では、"鼻薬"に関してはここで置きます」
「まだある? ――あるよね、そりゃ、うん」
「長屋の屋根の上で竹谷先輩を追いかけていたのは善法寺先輩ですか?」

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