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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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会話はできると左近は言ったのに、いつもなら打てば響く雷蔵も兵助も、ひとたび打つと明後日の方でカコーンと調子外れな音が鳴るかのようだ。
「あぁぁのですねえぇ」
とりあえず髪を梳くのをやめて貰おうと、頭に乗せられた雷蔵の手を捕まえて指を押し開き、両手で床の上にしっかりと抑え込んだ。
雷蔵は特に嫌がりもせずされるがままで、書状を片手にニコニコしている。
「図書委員会は反古紙で作った漉き返し紙を売って予算を補填すると、きり丸と久作から聞きましたが、その通りですか」
「そうだよー」
一語一語区切って念を押す三木ヱ門に、柳に風の風情の雷蔵がゆらりと顎を引く。
「落とし紙を作って、保健委員会がそれを買ったのは間違いありませんか」
「うん。兵助、重い」
三木ヱ門に知識の披露を遮られた上に会話の外に置かれて拗ねた――のかこれは――兵助が、雷蔵と背中合わせの位置に移動してきて、どさっと座り込むとわざと体重をかけて寄りかかって来た。
「軽いだろ、これくらい。あー、ぬくい背もたれ」
「やーだー」
「きり丸は、ゆくゆくは色々な用途の紙を作って販売しようと目論んでいましたけれど、北石先生にお渡しになった試作品というのもそのひとつですか」
これに突っ込んだらまた話が止まると思った三木ヱ門は、じゃれているのか本当に嫌がっているのか今いち分からない雷蔵に向かって、あえて質問を続けた。
「色を、」
ごりごり押し付けてくる兵助の頭を身体をよじってかわそうとしつつ、質問の答えなのか否か、雷蔵がふわふわと口を開く。
「混ぜると、別の色になるって、あるだろう」
「黄色に青を加えると緑色ができる、というような?」
「大豆と枝豆を混ぜた豆腐はうすみどり……」
「久々知先輩、その話はあとで伺います」
「でも、私は、あいがない」
そう呟いた雷蔵は、眉を下げてちょっと悲しそうな顔をした。

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