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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「誰? 五年? 四年?」
「兵助、今の痛かった、はははっ」
袖に目を近付けて制服の色を検分している兵助の背中を、雷蔵がばしばしと叩く。
しばらく叩かれるままになっていた兵助は不意に三木ヱ門の袖から手を離し、その手をぶんと後ろに振って、雷蔵の顔に向かって裏拳を放った。
「うわっ」
あれは痛い、と三木ヱ門は反射的に目をつぶる。
しかし兵助の拳は雷蔵の眉間を打つ寸前で止まった。
きょとんとした表情の雷蔵はやはりよく見えてはいない様子だったが、風が前髪を煽ったのは感じたのか、またくるんと瞳を動かして自分の額を見るような上目遣いをした。
「雷蔵、人を叩くのは駄目」
やけに真面目な口調で兵助が言う。
「こかすのはいいの? 痛かったよ?」
へらへらした調子で雷蔵が言い返す。
それをわざと無視した――という様子でもなく無視して、兵助は瞬きしない目を、呆気にとられて声もなく座り込んでいる三木ヱ門に向けた。
「誰? 八左ヱ門? 勘右衛門?」
「あの、えーと、」
見開いた目は怖いものの、兵助のほうがまだ話は通じそうだ。三木ヱ門は気を取り直し、ついでに座り直して、二人からやや距離を取った。
「四年の田村です」
「あー? 誰って?」
「田村です。四年ろ組の、田村三木ヱ門、です」
「んん、ごめんちょっと記憶の引き出しがアレだ、自称アイドルで銃火器マニアの会計委員だよな?」
「……、です」
おちょくられているのかと疑ったが、兵助の表情はそれなりに真面目で、申し訳なさそうに寄せた眉は冗談でもなさそうだ。
なんとなく泣きたくなりながら三木ヱ門は懐にしまっていた書状を取り出した。
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