嬉しくて面映ゆくて恥ずかしくてホッとして照れ臭くて、やっぱり嬉しい、でも、この身の置きどころのなさと言ったら。なんでもいいから何か言わないと、この場から今すぐ大声を上げて駆け出したくなりそうだ。
「私、は」
「……うん」
つっかえながら三木ヱ門が言い出すと、何を言うのかと若干警戒した様子で文次郎が軽く頷いた。
「会計委員会で、二番目に上級生です」
「うん」
「四年生の中にいると、私は鼻持ちならない自信家でいられます」
「口ばっかりじゃねえからいいだろ」
「が、委員会の中では、二番手として先輩のお役に立っているのかと、不安が自負を上回るばかりです」
「立ってるよ、十二分に」
「……ので、ので、頼りにしていると、仰って下さったのが、」
何か重みのある格好のいい言葉で締めたいのに、頭の中の引き出しは開けるそばから中身が蒸発して、その代わりに、「察してちゃんはメンドくさい」と言った時の山本の表情が見てもいないのに瞼に浮かぶ。
――えーい、どうとでもなれ。
「とてもとても、とおっても、嬉しいです!」
自棄になって直球で吐露した三木ヱ門の語勢に、文次郎が面食らったように口をぱくぱくさせる。
たぶん先輩と同じくらい自分も赤くなっているのだろうなとか、状況が分からない左吉はさぞかし気が揉めていることだろうなと、自分の中で吹き荒れるつむじ風に煽られよろめき、三木ヱ門は考えるともなく考えた。
再びの沈黙のさなか、どこからか草木をかき分ける音が近づいて来た――と思った途端、突然、あっけらかんとした声が横から割り込んだ。
「お取り込み中ごめんなさいねー」