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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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同じように八左ヱ門の眉も寄った。文次郎のそれとは違い、不快や威圧ではなく不安と緊張が色濃く浮かんでいるが、口許は頑なに結ばれている。
「話したくないのか、話せないのか、どっちだ」
「言えません」
重ねての詰問にも、八左ヱ門は冷や汗を流しながら同じ言葉を繰り返す。
文次郎はうずくまっている三木ヱ門にちらっと目を落とした。頭の上の不穏な会話が聞こえているのかいないのか、未だ身動きしない。
「田村は各委員会が提出した収支報告書の不審な点を洗っていた。それから派生して色々と面倒な事になってるみてぇだが」
「……」
「生物委員会の所へも回っただろう。黙っているのなら、水練池の端でしていたのはその話だったと解釈するが、構わねえか」
「……」
八左ヱ門は無言を貫く。
そこから少し離れた所で小猿に怪我がないか確かめている一年生たちは、ようやく手のかかるいたずら者を捕まえたことにはしゃいでいて、上級生たちの異様な緊張感に気付く様子はない。
「こいつの調査に協力的な部外者がいるのは、会計委員会としちゃ有難い」
軽く溜息をついて文次郎は続ける。
「――が、田村には話せても俺には話せないってのは、どういうことだ」
「……」
「誰も彼も内緒、内緒ときやがる。……俺の知らない所で、一体何をしている」
「……それはヤキモチってやつです」
低く八左ヱ門が言った瞬間、電光石火で文次郎の手がその襟元へ伸びた。

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