※設定ミスで非公開になっていました。ご迷惑おかけして申し訳ありません。(9/15)
「ええと……」
ひとりで何度も首をひねりながら、ばらばらに散らばっている言葉を拾い集めて組みたててみる。
そうして頭の中で出来上がったのは、さっきのきり丸の話のせいではないだろうが、丸く巻いた落とし紙の形だった。
「つまり……屋根の上で竹谷先輩を追いかけていたのは善法寺先輩だと、僕は思っている……ってこと?」
落とし紙と伊作を直結して認識している無礼には気付かない振りをして、呟いてみる。
不運を呼び寄せることに関しては疫病神にご利益を請われ拝まれてもいいくらいだが、それでも伊作は忍術学園の六年生なのだから、実技はからっきしダメということは無いだろう。成績のほどは知らないけれど、少なくとも四年生や五年生に遅れを取ることはないはずだ。
八左ヱ門を防戦一方で逃げの一手に追い込むくらいはできる――のかもしれない。ピンポイントで石つぶてを速射する姿は想像はしづらいが。
屋根の上から八左ヱ門に向かって怒鳴った声は裏返って割れて、何を言っているのか分からないくらいだった。
八左ヱ門が伊作をそこまで怒らせるようなことをした、というのも想像に難い。
それも忍術です、の「それ」って何なんだろう。
一年生たちの高い声が「そっち、逃げた逃げたっ」とキンキン響いてきて、三木ヱ門は我に返った。