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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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一度に大量の漉き返し紙を作るのは慣れていないせいか、出来上がるのはあまり質の良くない厚ぼったい紙になってしまう。それに加えて墨の色が滲んでいるから、よく揉んで落とし紙にするくらいの用途しかない。
「だから今のところお試し価格で格安ですよ。保健委員会だってそれで消耗品代を節約できるし、損はしてないはずです」
「……そうなんだ」
「もっと薄くて上等なのが作れるようになったら、帳面にしたり懐紙にしたり市で乱太郎に似顔絵描きをしてもらったりお店から注文を取ってオリジナル包装紙を作ったり……、うふー」
目を銭の形に爛々と輝かせて事業展開の夢をみるきり丸を横目に、久作が「捕らぬ狸」とぼそっと呟いた。
狸と聞いて思い出した訳ではないが、雷蔵はこういう作業はあまり得意ではなさそうだとぼんやり考えつつ、三木ヱ門は保健委員会の収支報告書を頭の中でめくり直した。
生物委員会への"貸し"に付けた名目だろうと推測した「雀用薬餌代」、あれは図書委員会から買った落とし紙の代金だったのでは? 図書委員のきり丸がよその委員会の報告書を覗いているはずはないから、保健委員会が落とし紙代を消耗品代として計上していないことを知らず、ぺらっと喋ってしまった――という雰囲気を感じる。
……この辺りは、医務室に押し込めの伊作を追及する話題に加える必要がありそうだ。
その前に文次郎と合流しておきたい。今の話を先に知らせたいし、妙なわだかまりをあまり長々と引っ張りたくもない。
「ところで、ここに来る途中で潮江先輩を見なかったか?」
そう尋ねてみると、きり丸は聞いていなかったが、久作は後ろを振り返りながら「この先の倉庫の所でちらっと見ました」と言った。
「いや……倉庫と言うか、木の正面と言いますか」
「どういうことだ?」
「おでこ打ち付けてました」
左吉が隣でおろおろしながら引いてましたと、真面目な顔をして付け加える。

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