久作とにらめっこをするのも気詰まりで、強いて何でもないような表情を作りつつ肩を竦めてみせた。
「委員長を差し置いてする話じゃないな、それは」
だから答えないと言外に匂わせて口を結ぶと、久作は不満気な目付きをしたが、それ以上言い募ろうとするのは飲み込んだ。
「これは雑談だけど、紙は誰が買ったんだ?」
睨んでくる視線を避けてきり丸に目を向ける。
ちらっと久作を見てから、きり丸が答えた。
「主に保健委員会です」
「……保健って、そんなに紙が要るっけ」
「落とし紙用ですよ。裏表びっしり使った後の紙を漉き返しても、字を書くのには向かない黒ずんだ紙になっちゃうもんで」
「そりゃそうだろうな」
「混ぜ物をして白っぽくすることもできるけど、それに予算を使ったら本末転倒ですし」
写経に使った紙で作ればそれはそれで値がついたりするんですけどねー、と無邪気そうな顔をするきり丸を、今度は三木ヱ門が軽く睨む。
「買い手がつくからって偽の反魂紙なんか売ったら、バチが当たるぞ」
「しませんよお」