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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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ぶつぶつ呟きながら東西南北を確かめようとしていた留三郎は、その途中で首を捻り傾いた頭をとんとんと叩いた。
「そんなことをしては、怪我に障りますよ」
「俺の中のジャイロがずれたらしい……」
「叩くと直るんですか。それで方向音痴が治るなら左門にも試します」
その時、異界妖号に頭をかじられていた団蔵がはたと目を覚ました。結い上げた髪の房をもしゃもしゃと食む異界妖号の顎を苦労してこじ開け、べとべとになった髪を撫で付けつつ、まだ少々ふらつく視線を三木ヱ門に向ける。
「たぶら……、田村先輩」
「誰がインドの太鼓だ?」
「……混ざっちゃった。田村先輩が他の五年生や六年生と仲良くしてるのが、潮江先輩には田村先輩がたぶらかされてるように見えて、それが面白く無いんだ、と僕と左吉は思いました」
「作文か」
それも一文の間に朱墨の修正がびっしり入るような。
三木ヱ門が苦い顔をすると、耳の上の辺りをこつこつ叩いていた留三郎が不意に笑い出した。
「そうか、妬いてる自覚はあるけどそれを認めるのが嫌なんだなあの馬鹿……あああ、やっぱり笑うと痛ってぇ!」
「メモリの辺りも叩いておいた方が良いのでは」
「まあ、そういじめるなよ。しかしこいつぁ面白い事になった」
声を出して笑うのはやめたが、悪い顔をしてニヤニヤする。
三木ヱ門は目を半眼にした。
「私は医務室に戻られるのをお勧めしますが、今から長屋へ向かわれますか」
「ああ。戻るのが遅かれ早かれ、伊作に叱られるのは間違いないし」
「……団蔵、異界妖号と一緒に食満先輩を長屋までお連れして差し上げろ」
今の先輩の方向認識力は左門以下だから、と三木ヱ門が言うと、異界妖号が歯を剥き出してブフンと鼻を鳴らした。
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