「何言ってんの!? ほんと何言ってんのお前!?」
「簡単な言葉にしましたあああぁぁ目が回るううぅ」
「その挙句が剛速球で大暴投のビーンボールだ馬鹿ぁあ!」
「……、……、……痛てぇ……く、くくっ……」
「怪我を押してまで爆笑しないで下さい食満先輩!!」
団蔵の頭を掴み上げて振り回しながら、三木ヱ門はその場にへたり込んで寿命寸前の蝉のように引きつっている留三郎に怒鳴った。
笑い過ぎて息絶え絶えの留三郎は三木ヱ門の狼藉を止めようとする意志はあるようだが、口から出る声は全て吹きそこねの笛の音になって意味を成さない。辛うじて手だけ伸ばし、三木ヱ門の袴を掴んでくいくいと引く。
「……あー、はぁ……ひひ、耳年増って怖ぇなぁ。田村ー、大丈夫だ、分かってっから」
「何をどのように!?」
「竹谷と断袖のなんとやらがあったとは思わねえよ。誤解と語弊があんだろ」
うちの一年坊主たちもよくやらかす、と留三郎が目をこする。窒息する勢いで笑い転げたせいかそのために怪我が痛むのか、目尻からこぼれるほど涙が滲んでいる。
くらくらと頭の周りに星を飛ばしている団蔵を異界妖号に預けて、三木ヱ門は留三郎の正面にきちっと正座した。
「確かにそれらしく見えるような状況ではありましたが断じて何もありません!」
「俺に宣言してどうすんだ、それを。あの馬鹿に言ってやれ」