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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「まあ、聞けよ」
へらりと留三郎が笑う。
害意はなさそうだが、かと言って何かを面白がっているような笑みでもない。しいて言うなら、笑うしかないからその顔をした、という感じだ。
「医務室に来るなり、文次郎が目の色変えて突っかかってきやがってな」
「あー……その辺、団蔵からも聞きました」
伏せっている大怪我人を布団から引きずり出したとやら。
「で――奴が言うことには、俺はお前をたぶらかしたんだとよ」
「はっ!?」
「あ、タクラマカンじゃなかったんだ」
声を裏返す三木ヱ門の横で、「そうか"たぶらかす"か」と団蔵が呑気に納得顔をする。
目も口も開きっぱなしで二の句が継げない三木ヱ門をよそに、首筋をひと撫でして留三郎は続ける。
「言い掛かり、と言うより誤解だが、しかし思い当たることが無いでもなかった」
用具委員の一年生を連れて医務室へ来た作兵衛から受け取った伝言で、三木ヱ門とのいざこざが解決したことは察した。
となると、作兵衛に見せて問い質すつもりだった小さな飾りを、留三郎が持っている理由がない。
早いところ三木ヱ門に返したほうがいいのは承知だが、今の自分の状態ではあまりうろつくこともできないし、会ったら渡してくれと適当な誰かに頼んでいいものとも思えない。
そこで、文次郎と揉み合った弾みで懐から包みが滑り落ちたのを幸い、こいつならまあ大丈夫だろうと「これを田村に」と頼んでみたら。
「間髪入れずラリアットが入った」
そこから後は正直良く覚えていない、と留三郎は潤んだ目をしばしばさせる。
「そう言えば"朴念仁"って何の符丁なんだ。弱った心に突き刺さったぞ」
「……目的は達しましたのでお気になさらず」

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