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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「なんだかとてもタチの悪い話を聞いた気がする」
「失礼な。長い目で見れば、将来はこれ以上無いくらい役に立つ存在になり得るだろ」
しかし只今の忍雀は、学園内の異変を見つけてはせっせと持ち帰る任務を課せられた、体よく言えば訓練中の身である。そして有体に言えば、誰かが隠したがっている「面白そうな」話を機動性に任せて収集してくる、作法委員会にとっての格好の遊び道具だ。
「聞いてしまった僕が言うのもなんだけど、やっぱり、この話はあまり広めないほうがいいぞ」
心の底からげんなりして三木ヱ門は溜息をつく。
すずめはひと回り辺りを見回せば難なく見つけられる、全く珍しくない鳥だ。どこでも目に付くそんなすずめが実は自分を監視している忍雀かもしれないとなれば、何ら後ろ暗いことをした覚えのない者でもいい気分はしない。それに、大なり小なり秘密のひとつやふたつは誰しも抱えているのだから、それを暴き出されることを恐れて萎縮してしまいかねない。
その為に学園に活気がなくなってしまったら、打倒忍術学園に燃える数々の敵が「時は来たれり」と勇んで立ち上がるのは必至だ。
「ちょっと大げさ過ぎない?」
喜八郎が眉をひそめる。
「風が吹いたら桶屋が儲かる、と言うだろう。一見些細なことがどこへどう繋がっていくか分からないんだから、慎重になるべきだ」
「その言い分は分からないでもないけどさ」
「それじゃもっと単純な話だ。心配症な奴が疑心暗鬼をこじらせたら、どれが間諜か分からないなら、見かけたすずめを手当たり次第に始末してしまおうって考えるかもしれないぞ。それでこの辺り一帯のすずめが駆逐されたら、作物に付く害虫を退治するものがいなくなる。米も麦も虫に食い荒らされて飢饉の到来だ」
「馬の餌がなくなるのは駄目です!」
団蔵が大声を出し、異界妖号の耳がピンと立った。
「三木ヱ門て、わりと悲観主義?」
眉を上げたり下げたりして三木ヱ門のぶった説教を吟味していた喜八郎は、そんな感想を述べた。

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