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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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珍しく泡を食った三郎はしきりに後ろを見ようとしながら、振り払う素振りは見せない。三木ヱ門が兵助に首を押さえられて立ち上がれなかったように、どこかを巧く極められているらしい。
こんな真似ができるのは――
「詳しいことは知らなくていい。黙って顔を貸せ」
「出たぁ!」
三郎の背後で悪役そのものの台詞を吐いた仙蔵は、三木ヱ門が上げた叫び声に、僅かに眉を上げた。
「人を珍獣か何かみたいに言うな」
「……アマミノクロウサギは少し増えたらしいです」
失礼しましたと言って頭を下げ、この展開に興味津々な団蔵の袖を引き、そろそろと後退する。
仙蔵は三郎の首を掴んだまま横に並び、焦りを浮かべるその顔を覗き込んで、にっと笑った。
「五年生は面白いことを計画しているようだな」
え、と三木ヱ門の足が止まる。そこへ仙蔵が意味有りげな視線を寄越してくる。それを見たのか見なかったのか、落ち着かなげに瞳をさ迷わせながらも、ふてぶてしいほど平然とした口調で三郎が言い返す。
「"面白いこと"に心当たりが有り過ぎて、なんとも言いかねます。箸が転んでもおかしい年頃ですので」
「そうか。まあ、お前に喋ってもらう必要もないから、忘れていい」
「……」
あっさり引き下がる仙蔵に、逆に不安を煽られた様子で三郎が黙り込む。穴の底から響いていた雷蔵と兵助の声がぱたりと止んでいるのにそれで気がついて、三木ヱ門はぞっとした。
あのべとべとに消化されちゃったんじゃないだろうな。
「五年生はいいとして――」
どことなく楽しそうに呟いた仙蔵は空いた手を挙げると、三郎の鼻をひょいと摘んだ。
「目下は生物委員会、中でも竹谷が今は面白い。だからこの顔が要る」

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