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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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すぐには立ち上がれない様子で、地面にへたり込んだままぜいぜいと肩で息をしている。右の足首から腰まで粘性のある蔦に似た「何か」に絡みつかれているのが見えて、三木ヱ門は身震いした。
「乱暴なことをする」
しばしの後、やっと呼吸の落ち着いた三郎が苦い顔をした。気味悪そうにぬめる蔦を掴み、ぶちぶちと無造作な手付きで引き剥がしていく。
「私たちはただ、田村と話し合いの続きをしようとしただけだ。落とし穴の披露なら他の場所でやって貰いたいな」
「はあ。正直、状況はさっぱり知りませんけども」
喜八郎がちらりと異界妖号に身を寄せる三木ヱ門を振り返る。どこからか飛んで来て鞍壷に止まったすずめに一瞬目を奪われた三木ヱ門は、喜八郎の視線を受けて首をすくめた。
「一年坊主と同級生が尋常でない雰囲気の上級生につけ狙われているのを看過したら、ご飯が美味しくなくなりますので」
「へえ、驚いた。四年生はいつからそんなに仲が良くなったんだ」
喜八郎の言葉に三郎は皮肉っぽく言い返し、腿の辺りに絡まってもつれている最後の蔦の一巻きをむしり取って投げ捨てた。得体の知れないべとべとが移った手を水気を切るように振ってみて、すぐに諦め顔になる。
「なんなんだよこれ本当に……洗えば落ちるのか?」
「一定時間内なら落ちます」
「ちょっと待て」
「では向こうで」
「そうじゃない! 時間が経つと落ちないってことか!?」
「身体に害はないですよ。身体には」
穴底へ真っ逆さまに落ちたと思ったら、変な臭いのぬるぬるする蔦に全身にまとわりつかれる――想像するだけで精神的な害になりそうだ。ぶるっと来て二の腕をこすった三木ヱ門に、喜八郎は三郎から見えない位置でこっそりと手を振った。
「それと竹谷先輩を見つけたら足止めするようにと、作法委員長からお達しで」
「それなら空振りだ。私は鉢屋だ」
「いえ、お構いなく。そのお顔ならいいんです」

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