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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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籠で両手が塞がっている雷蔵は対応できない。団蔵の突進をまともに受け止めて足元をよろめかせる。
「わ、わ、よせっ。危ないっ」
「捕まえました!」
崩れかかる巻物としがみつく一年生にあたふたする雷蔵をよそに、団蔵が高らかに勝ちどきを上げる。揉み合う二人と、「よしっ」と拳を握る三木ヱ門を交互に見て、長次が目を瞬いた。
「会計委員。これは、何だ?」
表情がほとんど変わらないので分かりづらいが、突然のことに驚いてはいるらしい。それでも三木ヱ門と団蔵が揃っているのを見て委員会絡みの行動だと察している。警戒を抱かれる前にと、三木ヱ門は雷蔵を手で示し早口に言った。
「騒がしくて申し訳ありません。五年生に用があります」
「五年生に」
しかしあれは不破だ、と、離れようとしない団蔵を蹴るわけにもいかず難渋している雷蔵を見遣り長次がぼそぼそと言う。
第五学年のことなら学級委員長の三郎や勘右衛門に聞くべきではないのか。なぜ、こんな荒っぽいやり方をもってしてまで雷蔵を捕まえるのだ。
そんな言外の詰問を感じ取った三木ヱ門はさっと顔を上げると、敢えて長次から視線を外し、声を張って「不破先輩」と呼びかけた。
「私たちと話をしてくださいますか。それともここで私が話してよろしいですか」
「……う」
思わずのように短く呻いた雷蔵が、長次が訝しげに眉をひそめたのに気付いて小さく身震いする。
それを見届け、三木ヱ門はくるりと長次に向き直った。
「予算に関して確認しなければならないことが出来しまして――図書委員会の活動とは、関わりないのですが、」
息継ぎをするふりをして、一拍、間を置く。
「不破先輩にご助力を頂きたいのです。ただ、お忙しい最中かと思いますので、――ここで立ち話で済ませても」
「それは駄目!」
声をぶつけるように雷蔵が三木ヱ門を遮った。
雷蔵らしくない強い口調に、長次が片方の眉をわずかに上げる。
「……廊下で立ち話をしたら通る人の邪魔になるから」
話なら、どこかその辺の空き教室でしよう。
諦めたようにそう提案した雷蔵は、ささやかな仕返しなのか、抱えた籠の底を団蔵の頭にすとんと乗せた。


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