「先輩って器用ですね。タカ丸さんみたい」
「そりゃどうも」
「手拭い包みはまだ潮江先輩が持っていらっしゃいます」
「だろうな」
「中身は何なんでしょうね。手のひらに乗るくらいの小さいものだったけど、見当つきます?」
「大体は。飾り結びの話は終わりか?」
「え? はい。田村先輩が結んだから解かない、ってことでいいんですよね?」
この結論に何かおかしな点でもありますか、とでも言いたげな表情を浮かべた団蔵がきょとんとする。
三木ヱ門は脱力した。
「……何なんだもう、みんなして」
「それより先輩、図書室へ何をしに行くんですか?」
「"青いイナズマ"を捕まえる」
「ふぇ?」
間の抜けた声を出した団蔵に、先に築山で話した推測が事実と少し違っていたと説明する。
保健・生物の組と火薬・図書・学級委員長の組はお互い無関係に存在していてそれぞれに企みがあること。保健・生物組についてはその内容に目串がついたこと。残る3つの委員会は五年生が首謀者であるらしいこと。とりわけ図書委員会は、更にもうひとつ隠し事をしているらしいこと。
「不破先輩はいま他の五年生と離れている――といいな、って希望的観測だ――から、どこかへ向かわれたとすれば図書室だと思ってな。……おそらく当番は中在家先輩だから、ちょっと挫けそうになってたところだ」
「竹谷先輩はどうなさったんですか?」
「委員会の仕事に戻られた」
三木ヱ門が虫捕り網を振り回す真似をすると、団蔵は納得顔で頷いた。