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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「善法寺先輩を訊問するつもりで医務室へ向かう途中にお前たちを拾って、医務室に着いたら食満先輩と掴み合って、そのあと何故もう一度外へ出てきたんだ?」
「んーと、手拭いの包みです。食満先輩が持っていたやつ。それを田村先輩に渡すって」
「受け取らなかったし、話にも出なかったぞ」
「それは多分アレです、竹谷先輩と一緒にいらしたから? かな?」
「分からないな。それが理由になるのか」
「すいません、僕も分かりません。池の端を離れた後に、渡さなくて良かったんですかって尋ねたら、"あぁー……"」
文次郎がした返答を真似たらしい。子供らしく高い団蔵の声が一転して、水練池の水底の泥のように低く沈んだ。
「とだけ仰って、懐手をして黙ってしまいました」
どこかで見落としたために計算が合わないごくごく少額の支出が何度帳簿を確かめてみてもどこにも見つからない時と同じ顔をしていた、とその表情も再現しようとして、諦めた。両手で頬を挟んでこね回しながら団蔵がちらりと三木ヱ門を窺う。
「なんだよ」
「あの、潮江先輩の首の飾り結び、田村先輩がなさったんですか」
「そうだ。元は蝶結びだったのが解けてしまって、なんでもいいと仰ったから、つい凝った」
「そうでしたか。……そうでしたか」
一度は普通の口調で答えた団蔵が、自分の髷の根元をちょいと触って、不思議そうな声で繰り返した。
「……なんでそんなものをと思ってるのか? 祭礼儀式の授業の一環だそうだ」
白塗りのままだった時点ではともかく、その格好を放課後になってもまだ続けている必要はないはずではあるが。
「あぁ、いえ。医務室でドタバタした時に潮江先輩の元結が切れちゃって、適当な紐でがさっと結い直してたんですけど、ふくら雀が引っ掛かってちょっとやりづらそうにしてらしたんです。なんで解いちゃわないんだろ、って思って、――そうかぁ。そうだったんだ」
「何を納得したんだ」

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