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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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理屈や理論を置き去りにして根性と勢いで力押しする人物と思われがちで、実際そんな言動は多々あるが、一見無関係に分散する事象を組み合わせ推測する洞察力もしっかり持ち合わせ、観察眼も鋭い。
本人が聞いていたら苦い顔をしてそっぽを向きそうな賛辞を並べ立てた団蔵はふと言葉を切り、むむむと唸った。
「それは潮江先輩だから? それとも、六年生だからですかね?」
「へ? ――そりゃ六年生ともなれば、何と言うか、僕らより早くて正確な論理的思考ってやつを身につけていらっしゃるだろ。その基礎をどう使うか、どの方向に伸ばすかは個人の性格次第だろうし」
「うーん……僕、六年生になれた時、その基礎はちゃんとできてるかなぁ」
先輩方は一年生に比べると皆、分別があって思考の深い大人に見える。一歳しか違わない二年生でさえ、ずっとしっかりして落ち着いている。一年後には自分たちもそうなっているのか? と考えてみても、相変わらず興味の向くままにわちゃわちゃして、先生を嘆かせている気がする。
深刻そうな表情でそう言った団蔵の口調が意外に真面目だったので、思わず笑い出しそうになっていた三木ヱ門は強いてそれを飲み込んだ。
「その伝で行くと、四年生の僕もお前から見ると大人っぽいのか?」
「です」
「……ふふん。心配するな。この先進級しても、今の上級生のようにはなれないから」
「えええ、そんなバッサリ……やっぱり僕が一年は組だからですか」
「それは関係ないな。でもなぁ、恐ろしいことに、お前が六年生になった時の一年生は、今のお前と同じ眼差しで六年生のお前を見るぞ」
僕だって、この三年の間に見てきた四年生の先輩方は今の自分よりも言動が大人びていた気がするもの。
三木ヱ門がそう言うと、団蔵は目をまん丸くしてまじまじと三木ヱ門の顔を見た。
あまりに見詰められて少々きまり悪くなったので、こほんと空咳をしてさり気なく視線を外した。
「身体はともかく、中身の成長を自覚するのは難しい――ってことだ。尤も、本当に成長していないこともあるけど」
「そういうものですか。……と言うか、田村先輩が殊勝なことを仰るのって初めて聞いた」
「話が逸れたな」
ついでに進行方向も逸れたと言って、三木ヱ門は団蔵の頭を掴んでぐいと前を向かせた。


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