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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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……つくづく悪役が向かない人だ。
膝下の土をばたばたとはたき、三木ヱ門は溜息をついた。
初めはへらへらした掴み所のない奸邪を演じていたというのに、同級生に猿の一件が漏れたと早合点した瞬間にその仮面が脆くも崩れた。人間、向かないことはするものじゃない。
「こんな斥候みたいな真似もするものじゃなかったな。四年生にもなって、好奇心で動くなんて」
自嘲気味に言って空笑いする。好奇心で作りかけの薬をちょろまかして爆発的な運動量を手に入れた六年生もいるけれど、あれはまあああいう人だから。
現状を一旦整理しようと、三木ヱ門は指を折って考えた。
経緯は不明ながら伊作は文次郎の監視下に入った。"鼻薬"のことを文次郎が知ったら、そう簡単には放免するまい。伊作の周辺調査はひとまず保留しても良さそうだ。
生物委員会の隠し事と五年生の謀はどうやら無関係だった。猿のあれこれで手一杯の八左ヱ門を蚊帳の外に置いて、五年生たちは何かの企みを進行させている。
作法委員会は何の理由あってか、八左ヱ門の「顔」を必要としている。これは地下道の中で初めて知った話で、予算絡みの「鳥籠代」とは関係無さそうだ。
そうすると、いま三木ヱ門が追うべきなのは五年生ということになる。
文次郎は「焔硝蔵と医務室を回った」と言った。焔硝蔵へ向かって歩いていた安定した足跡は、それではやはり文次郎のものか。
「潮江先輩が来たから、久々知先輩と"伊助"は校舎に走った、ってことか?」
兵助が蔵の中にいる"伊助"と話をしているのを文次郎が見かけたら、中に誰がいるんだ、くらいは尋ねるだろう。伊作がここに来なかったかとも、もしかしたら聞くかもしれない。
三木ヱ門に対した時のように、兵助は上手にごまかした――
のだろうが、ごまかしきれた自信がなくて、尻尾を掴まれた場合の善後策を講じに大急ぎで雷蔵を探しに行った。


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