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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「先輩が現れた時の状況が状況だったし。……まずい、俺あとで三枚に下ろされるかも」
「状況……、うわぁあぁ」
褒められたのが照れくさくて顔を赤くしたうえに服装を正そうとして腰紐を解いていた。それに加えて、知り得た情報の中に文次郎に話せることが無くて、対座する八左ヱ門と2人そろって目を泳ぎ回らせた挙句、不審過ぎるはぐらかし方をした。団蔵が言いかけて肘打ちを食らった通り、これではまるで――まるで、その、なんだ――
「襟から手を離した後でよかった」
頭を抱えて声にならない叫びを上げる三木ヱ門の横で、自分の手のひらをしげしげと見て八左ヱ門が嘆息した。無体を仕掛けたと誤解されて弁解する間もなくぶった斬られては、死んでも死にきれない。
「――ってぇのは悪乗りしすぎとしても、潮江先輩、のっけから機嫌が悪かったな。あんな下卑た冗談を言う人じゃないのに」
「たぶん、医務室に行かれたから……かと」
トラウマを引きずり出す劇薬で乱太郎に追い詰められ、三木ヱ門が謀った作兵衛の精神攻撃で撃沈した、心身とも満身創痍の留三郎がいる。不倶戴天の敵が精魂尽き果てて転がっていたら黙って見過ごす文次郎ではなく、嘲笑を浴びて甘受する留三郎でもない。そこで一悶着あったことは想像に難くない。
八左ヱ門へ真っ先に星座を質したことを考えると、きり丸が脳天気に口にした「チーム牡羊座」に引っ掛かっているのも確かなようだが。
一年生たちから"鼻薬"のことを聞いたから伊作を捕まえたのか、それとも本当に「チーム牡羊座」とは何だと問い詰めようとして確保していたのか、……これは尋ねてみていいものだろうか。
「とにかく俺は行くよ。しつこくて悪いけど、ここで喋った件は他言しないでくれな」
「……はい。ああ、でも、私が五年生の先輩方の動向を窺っていることも、できれば黙っていて下さい」
「んー……」
「でなければ来月の予算は――」
「おおう。その手があったか」
しっかり閉じた口を針で縫い止める真似をして、八左ヱ門は「それじゃまた」と駆け出して行った。


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