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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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その目がふと地面を向いた。
つい釣られて三木ヱ門も視線を落とすと、人差し指ほどの大きさのトカゲが二人の膝の間をするすると横切って行くところだった。急ぐでもなく泰然とした足取りで隙間を抜け出して、尻尾をくねらせながら反対側の草むらの中に消えて行く。
素早い動きだ。
しかし、下級生長屋で弾丸のようにすっ飛ぶねずみを見てしまった目には、せかせかした脚の動きが目視できたぶん随分とのんびり歩いているように感じた。
「今の、飼育小屋から脱走したトカゲですか」
「あれは野生」
冗談半分に尋ねる三木ヱ門に、八左ヱ門は生真面目に首を振った。
その首がやや前に垂れた。地面の上に言葉をこぼすようにして、低い声でぼそぼそと言う。
「……善法寺先輩は怖いひとだ」
「怖い?」
「人当たり良さそうに見えて抜け目ない」
「へ?」
「最初に相談しちまったのがケチの付き始めなんだ」
「はあ」
「あれで不運に感染したのかもしれないな」
「はい?」
「いやでもウチに悪いツキを呼び込んだのが善法寺先輩だから不運のご本尊は先輩……、いや、大元は俺か」
「あのー。もしもし」


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