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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「どこの委員会も倹約には汲々としてる。伝手を見つけたと言うなら、見つけたんだろ。土井先生は火薬の知識を持ってる南蛮人に知己があるそうだし、その方面から探したとか……それか、困った時の福富屋さんとか」
爪楊枝から安宅船までなんでもござれの大貿易商の御曹司が、そう言えば火薬委員会顧問が担任するクラスの生徒だった。
はたと思い出し手を打ちそうになって、三木ヱ門は八左ヱ門にまだ襟を掴まれているのに気が付いた。しきりと首を傾ける八左ヱ門は自分の手の居場所を忘れているようで、一向に気にする様子がなく、思案しつつ言葉を続ける。
「福富屋さんがシャム辺りに新しい通商ルートを開拓して、それを融通してくれたのか、或いはもっと単純にしんべヱの口利きで割引販売をして貰えることになったのかもしれん」
それもあまり外聞が良くはない。しんべヱの実家だからって一年は組の関係者にばかり便宜を図ってずるい、それならウチだって是非一枚噛ませてほしい、と言葉に出さないまでも口を尖らせる者が現れそうな話だ。
「……だから久々知先輩、あんなふうにごまかしたのかなぁ」
飄々とした顔で、火薬壷を買えばと無茶な勧誘なんて――、そうだ、あの時焔硝蔵の中にいた「伊助」の正体はまだ知れないんだっけ。久々知先輩と一緒に駆けて行ったらしい鉢屋先輩がいちばん怪しいけれど。
「あんなふうって?」
「喋り方や物腰が、鉢屋先輩みたいな感じでした」
突発性三郎症候群だ、と八左ヱ門が苦笑する。嫌だな、それ。
「本物の兵助だったか?」
「だと思いたいです。私が見かけた時には、鉢屋先輩は竹谷先輩の姿をしていらっしゃいましたが、どういう訳か不破先輩まで鉢屋先輩に似た言動をなさるし――中身と見た目がもう、どなたがどなたなのか」
「ふうん」
少し身体を引いた八左ヱ門が、鼻に抜けるような声を出した。


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