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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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責任感というか正義感というか、自分が悪役になってでもこの件は内々に留めたいという八左ヱ門の意志は強そうだ。すべてがバレて会計委員長に絞め上げられるのは嫌だ、という保身も無いではないのだろうけれど。
「いくつか確認したいのですが」
「うん? 何を」
三木ヱ門が言うと、いくらか魂が抜けかかったような様子の八左ヱ門は、はたはたと瞬きをして首をかしげた。
「まずひとつ。先輩と私は、実は互いに全く違う話題をしている、ということはありませんか」
「……」
口を開きかけた八左ヱ門の顎が半端な位置で止まる。
あの話、この一件、とどちらも今まで言葉を曖昧にしたまま、それでも会話は噛み合っていた。三木ヱ門は孫兵が思い切り刺してきた釘が心のどこかで枷になったからだが、八左ヱ門はぎりぎりの瞬間まで明言は避けて、いざとなったら話をすり替えてすっとぼけようとしていたから――、か? それも、三木ヱ門が聞き集めた話に確証を与えて、間違いなく事実だと知ってしまうのを回避しようとして?
いずれにせよ、同じことについて話しているのだと確定させておきたい。
「先輩は、何の話をしていらっしゃいましたか」
「俺から言うのか」
たたみかける三木ヱ門に、八左ヱ門はかくかくと顎を動かして言いづらそうにした。やっぱりとぼけてやり過ごしてしまおうか、という表情がよぎる。そこをもうひと押しした。
「私はもう同じ蓮の台に載せられているんです。今更隠し立てをされても無意味です」
「……それ、"れんざ"違いな」
迷うように辺りをぐるっと見回した八左ヱ門は、視線が三木ヱ門の顔の上を通過する瞬間に、「返品するお歳暮の猿」と口の端で言った。


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